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2014年4月29日火曜日

夏鳥一番・クロツグミ


学名:Turdus cardis
英名:Grey Thrush

初夏に渡って来る夏鳥は、オオルリやキビタキ、コマドリ等を思い浮かべる人が多いと思うが、その先陣を切って現れるのがクロツグミだ。今回は北陸線のJR武生駅に近い村国山でのこと。桜の花びらを散りばめた様な桜並木の山道で地面を跳ね回って昆虫やミミズを探しているクロツグミの姿が見られた。

しばらく観察していると近くの岩の上でさえずる体勢になったが、あいにく、ガンマイクを装着していない方のカメラなので、別の鳥の声が録音されてしまった。と言うよりも、別の鳥の大きな鳴き声にかき消されて、残念ながら、クロツグミの鳴き声を上手く録音出来なかった。しかし、良く調べて見ると、クロツグミは他の鳥の鳴き声を上手にまねるとか。とすれば、別のクロツグミがさえずっていたのかも知れない。

クロツグミの雄は背中の側から見ると黒1色だが、くちばしや足は黄色く、白い腹部の周辺には、黒い三角班が散在する地味ながらシックな野鳥である。マニアの連中には事の他人気がある。終了間際に登場するのは雌で、ハチジョウツグミの様な羽の色をしている。この日は1羽の雌と2〜3羽の雄が見られたので、その附近で営巣してくれないものかと期待が高まった。越前市では、時々真冬にも出没するので、越冬する個体もいる様だ。

国内最小のチドリ・コチドリ


学名:Charadrius dibius
英名:Little Ringed Plover

初夏になると、干潟や水田等で、コチドリが餌を探す姿が見られる様になる。しばらくすると営巣期に入るが普通はチドリの仲間なので、どうしても営巣場所は水辺を想像してしまうのだが、コチドリが営巣するのは必ずしも水辺とは限らない。まあそれ程遠くない所に、川や水田があるにはあるが、草も生えていない様な内陸の造成地や埋立地などで、余り人の出入りがない場所も利用される。これは人間を用心していると言うよりも、卵や雛を狙うヘビなどが近づかないからではないかと思われる。

でも夏の直射日光の元では日陰もない砂礫の広場では高温になるため、雌雄が交代するとは言え、ふ化するまでの親鳥の苦労は計り知れない。炎天下では卵を温めるのではなく、茹で卵にならない様に、ビデオの様に体で日陰を作ってあげていることの方が多い。そして、一般にシギやチドリの仲間がそうである様に、ふ化してから、雛が歩き始めるまでのスピードは驚異的に速い。1日もたたない内に、親の後をついて回っているから感心する。そしてどの野鳥でもそうだが、コチドリの雛は格別に可愛い。まだ産毛の生えた体ながら、一人前に地面をつつき、餌を探すのには感心してしまう。

残念ながらまだビデオには撮れてないが、親は雛を襲う動物や人間が近づくと「擬傷行動」をするので知られる。自分が傷ついている様な仕草をして、感心をひきつけ、その間に雛を逃がそうとする知恵である。