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2014年1月21日火曜日

派手な衣装の旅鳥・ツクシガモ


学名:Tadorna Tadorna
英名:Common Shelduc

ツクシガモはユーラシア大陸の温帯域に広く分布する鴨だが、少数が冬季に日本へも渡って来る。九州北部の諫早湾の干拓地辺りに渡来が多かったので「筑紫鴨」の名がある様だ。体色はパンダを思わせる白黒と茶の派手目なまだら模様で、頭から首にかけてはツヤのある緑黒色、真赤なくちばしが特徴の鴨である。鴨類には珍しく雌雄同色だが、繁殖期の雄は額のこぶが膨らむとか。

地元の福井新聞に、その日、「若狭地方の水田に珍鳥飛来」の写真と記事が載っていたので、即、出かけて見た。迷鳥は気まぐれだから、何時まで滞在してくれるか判らないので、情報を見たり聞いたりしたら、なるべく早く現地に行く様に心がけている。田舎ではアマチュア・カメラマン(ギャラリー)が集まっている訳ではないので、通常は最初に狙いの野鳥がいる場所を探すまで一苦労だが、今回は見通しが利く田んぼに群れでいてくれたので、直ぐに発見出来た。ツクシガモはマガモよりやや大きく、マガンよりやや小さいサイズだ。田んぼで餌を探しながら、歩いたり、泳いだりしている群れを写真とビデオで撮り、最後には粘って、群れで飛びたち編隊飛行する様子も撮影出来た。当日も珍しい野鳥に出会えた感動を胸に帰途に就いた。

神の遣いか・白いカモシカ

学名:Capricornis crispus
英名:Japanese serow

福井県には、神社仏閣が多い。そうした場所には鎮守の森がつきものであるが、神社の裏手がそのまま森につながっている所も少なくない。

ある時ロケハンで山沿いの神社をまわっていると、その裏山の中腹でこの白いカモシカと遭遇した。全身の毛が白くなったカモシカは神の遣いとして大切に保護している地方もあるという話をどこかで聞いたことがある。しかし、地元のハンターに後で聞いた話では、歳を取ると白髪になる人間と同じで、老化現象だと言う。神様が只の老いぼれと言われては天と地の開きがあろう。ちなみに普通の灰褐色のカモシカは後半に紹介している。山の渓流に添った林道を車で上流に向かっていた時に堰堤の上を歩いていた個体だ。カモシカは山道を車で走っていると、シカの様に突然横から飛び出して来て、クルマと接触しそうになることがある。しかしカモシカはシカの仲間ではなく、ウシやヤギの仲間(ウシ目ウシ科カモシカ属)であるから、鹿の様に角が生え変わることはないとのこと。又、カモシカの寿命は普通15年程だが稀に20年生きる個体もいるそうだ。

1934年に国の天然記念物に、1955年には特別天然記念物に指定されている。その結果、肉と毛皮を取る目的で狩猟の対象にされて来たカモシカも近年は頭数が回復して来たので、その食害が問題になっている。

コウノトリ・越前のえっちゃん

学名:Ciconia ciconia
英名:White Stork

兵庫県豊岡市にある兵庫県立コウノトリ郷公園からその後、野生に戻されたコウノトリは70〜80羽程にもなり、以前の様に国内絶滅の心配もなくなって来たらしい。以前放鳥された内の何羽かは福井県へも飛来している。その内の1羽が越前市に長く滞在したので「えっちゃん」と名付けられてから久しい。今回はそのえっちゃんが我が家から車で10分もしないで行ける田んぼに降りていた時の記録を紹介しよう。

鳥仲間が見つけて知らせてくれたがギャラリーは私と二人だけで、大都市近郊と違い、大勢が集まってくることはない。コウノトリはその長いくちばしで、泥底をつつく様にしてドジョウやザリガニなどを探して食べていた。最初は遠慮して50メートル位離れて観察と撮影をし始めるのだが、人間には比較的慣れている感じで、向こうから次第に接近して来て10メートルも離れていないつい目と鼻の先で、せっせとドジョウ等を探して食べたりしてくれる。タンチョウと背の高さは余り変わらない感じだが、くちばしが太く大きいのと、がっしりした体形なので、やや大きく見える。又、タンチョウは優しい目つきをしているが、コウノトリの目は鋭い眼差しなので高貴な感じがする。同じ場所にしばらく滞在してくれたが、ドジョウを沢山食べて満足したのか、やがて何処へともなく、飛び去って行った