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2014年9月11日木曜日

ケリの交尾と子育て

学名:Vanellus cinereus
英名:Grey-headed Lapwing

ケリは中部、近畿に多い留鳥で、水田地帯や干潟で見られる。越前では生息数も多い普通種でほぼ1年中見られるが、関東以北では夏鳥で、あまりポピュラーな鳥ではない。じっとしていると雌雄同色の保護色で目立たないが、カラス等を追い払うために飛び回ったり(モビング)すると、新撰組の羽織を連想させる主翼の模様が印象的である。鳴き声はけたたましく、お世辞にも美声とは言えない。

交尾は突然始まり、ビデオの様にあまり求愛行動らしいきこともなく、数秒で終えるのでなかなか狙って撮れるものではない。ケリの巣は田んぼにあぜ道や、休耕田、空き地等にも作られるが、ヘビやイタチ等の外敵から卵を守るためか水田の真ん中に浮き巣の様に作られていることが多いので、普通は胴長でもはかないと接近して撮れない。雛はとても可愛いのだが、ふ化したその日に立ちあがって歩くことが出来るので驚かされる。

シギやサギの仲間は巣立ちが早いのは知っていたが、ケリはその仲間でもダントツかも知れない。親は巣立ちした雛を即、安全な草むら等に誘導し、外敵から見えない様にして保護する習性がある。猛禽類等の飛翔に気づくと、仲間と目いっぱいの警戒する声で鳴きあい威嚇する。和名はこの鳴き声に由来する様で、長い足で蹴りを入れるからではない様だ。

身近な毒蛇・マムシ

学名:Gloydius blomhoffii
英名:Japanese copperhead

長年アウトドアライフを楽しんで来た僕だが、こんなにギョットしたことはなかった。折りしもお盆休み中の事件である。実は我が家の横に植木を剪定した小枝を積んでおいたのだが、長雨ですっかり濡れてしまった。後で燃やすにしても、乾燥させておかなければいけないと思い、箒の先でひっくり返したところ、魚の餌になりそうなミミズが沢山いたので、お箸を使って、拾い始めていたら、すぐ傍の側溝にマムシがとぐろを巻いているのを発見したのだ。我が家は山沿いの一軒家ではなく、門前町風の田舎町の住宅地である。近くには草の生えた庭や、お寺の石垣もあるが、まさかマムシが潜んでいようとは夢にも思わなかった。

マムシの毒は強烈なので、大きな個体に噛まれると命にも関わるそうだ。恐る恐る観察すると、まるで寝ている様に動かない。急いで部屋に戻り、ビデオカメラと三脚を取って来て、撮影を開始。竹ざおの先で軽くつつくと素早い動きでジャンプし、噛み付いて来た。40cm位でマムシにしては大きめの個体。尾の先を震わせているのが不気味だ。

マムシは卵胎生で、繁殖期には5〜15匹もの子マムシを宿す。腹が膨らんだ雌はツチノコの正体とも言われている。地元の長老の話では、母乳の出る女性の髪の毛をムシロの下に入れておくとマムシが集るので、捕らえてマムシ酒に利用する人もいるとか。近所の子供が噛まれたりしても困るので、駆除する決心をし、生類哀れみの令もどこ吹く風と、棒で頭を殴ってから、お寺の掘に投げ込んだ所、ザリガニが集まって来て、捕食していた。ほっと胸をなでおろしてから2〜3日後、マムシの祟りか僕は酷い食あたりに苦しんだ。

サワガニのお散歩



学名:Geothelphusa dehaani
英名:Japanese Freshwater Crab

サワガニは日本固有種で、漢字名を「沢蟹」と書き、山沿いの渓流やきれいな小川に棲むイメージがある。しかし、大きな河川でも清流域なら多数生息している。

九頭竜川の支流足羽川(あすわがわ)でカジカ等を撮っていた時のこと、1匹のサワガニが川底をのんびり散歩しているのが目に入り、しばらく観察していた。川底にはヌマチチブが多い場所だった。その幼魚の場合はサワガニにじゃれついて遊んでいる様に見受けられたのだが、やがて大きい個体が現れると状況が一変した。

大型のヌマチチブはどうやら、餌と思ってサワガニに襲いかかっているらしいのだ。モクズガニと同様に、肺臓ジストマの中間宿主になっているので、生では食べない種類なのだが、ヌマチチブはおかまいなしだ。硬い甲羅のお陰で結局捕食されてしまうことはなかったが、サワガニも必死で大きな石の下に逃げ込んだりして身を守っていた。甲殻類は脱皮しながら成長するので、脱皮直後の殻の柔らかい期間あれば、防御する術がなかったのではないかと思われる。

サワガニは丸ごと唐揚げにしたり佃煮にして利用されるので、食べた経験がある方もおられると思う。日本各地の河川でかつては清流の象徴であったサワガニやカジカが激減しつつあるそうだが、寂しい限りだ。