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2014年2月23日日曜日

ヨシゴイ

学名:Ixobrychus sinensis
英名:Chinese little Bittern

新潟県の瓢湖には毎年夏季にヨシゴイが渡ってくる。通常、冬場には南へ移動してしまうが、南日本では越冬例もあるそうだ。

コウノトリ目サギ科のこの鳥はあっと驚く擬態の名人で、ハスの茎にとまってじっとしている場合、双眼鏡でも使って良く見ないと見つけられない程だ。水面近くを泳いでいる魚から水面上を見た時、魚眼レンズで広角に見える魚の目には、ハスと言う植物の一部にしか見えないに相違ない。両足をハの字にして茎にとまっていると、大きさはハト位と小さい上に、体色が淡褐色なので全く鳥には見えない。羽を広げて動いたり、飛んだりすれば、風切羽は黒いので、はっきりと見えやすくなる。

水面の魚を捕食する時は、頸部を棒状に伸ばし鋭いくちばしで、素早くしとめる。見ていると、魚やカエルを捕食することが多いが、顔の前に飛んできたトンボを捕らえる早業も見せてくれた。湖面に浮いているハスの葉の上を自在に歩き回る姿はまるで忍者が水ぐもの術を使っている感じだ。人間なら大きいゴムボートでも並べないとこんな芸当は出来ないだろう。湖のハスはところどころにきれいな花が咲いているので、その花がらみで撮りたいと粘って見たが、形の良い花が少ない時期だったので、ほどほどにあきらめ湖を後にした。

タンチョウ

学名:Grus japonensis
英名:Japanese Crane

タンチョウの故郷は何と言っても釧路湿原。タンチョウに冬場餌を与えて保護している鶴居村の給餌場には多くのタンチョウが集まってくる。この給餌場のお陰で、絶滅が心配されたタンチョウの個体数も順調に回復している様だ。

湿原では夜間、安全に眠れる場所も不可欠で、少し離れた場所には川の中にたたずんだまま眠れる川があることも大切な条件であるが適当な距離にそのねぐらの阿寒川や雪理川もあり、雪理川では音羽橋から群の様子が観察出来る。給餌場で待っていると、飛来する群やペアが鳴き交わす求愛行動なども観察されるので、カメラマンも多数ここに集まる。前回は雪景色の中で撮影したのだが、今回は枯れ草の季節だったので、環境としては余り好ましくない。

タンチョウは白い鳥だから、雪の上でない方が見栄えがすると思いがちだが、その白い雪の上にいる時ほど、美しさが際立つから不思議である。九州では毎年冬になると、マナズルやナベズルが飛来して来るが、その美しさにおいてはタンチョウの右に出るツルの仲間はいないのではないかと思う。おまけにタンチョウは頭の頂上に日本の国旗の様な赤くて丸い模様があるまさに「日本の象徴」と言う感じがする野鳥である。

サケ(シロザケ)

学名:Oncorhynchus keta
英名:Chum salmon

北海道や東北の河川には毎年秋になると、サケの群れが帰ってくる。故郷の川から旅立った稚魚は、しばらく沿岸の藻場で海水に体を慣らした後、外洋へと旅立ち、4年後にその超能力によって、母川に回帰する。遡上したサケの多くはウライと言うヤナで捕獲されて、次の人工ふ化事業の為に利用されるが、増水などで、ウライを乗り越えたサケの一部は上流の産卵場所にたどり着く。

腹の卵が熟して来ると。雌は湧き水がある様な川底を尾びれを使って掘り始める。ここで待機している雄同士の争いが激しくなる。雄たちは自分がパートナーになって、子孫を残そうと激しく争い、雌を奪い合う。雌は観察する限り雄を選り好みせず、勝った方の、強い雄をパートナーにする様だ。

この争いによって、常に強い雄の子孫が誕生することが繰り返されてきた結果、今日の大きくてたくましいサケとなって進化してきたのであろうか。しかし、面白いことに必ずしもビデオに登場するこの2匹の立派な雄のどちらかが勝ち残るとは限っていない。そっとこの闘争の様子をを離れた所からうかがっていた小型の弱々しい雄のサケ(通称スニーカー)がどさくさに紛れて産卵の瞬間にパートナーを勤めてしまうこともあるからだ。