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2013年12月22日日曜日

トキ

学名:Nipponia nippon
英名:Japanese Crested Ibis

佐渡で放鳥されたトキが富山県の黒部に住み着いているとの情報があって鳥仲間と出かけて見た。現場に到着したが、お目当ての場所にはトキの姿が見えないので、地元の方に聞きながら、附近を捜しまわったが、たまたま日曜日だったこともあり、愛鳥カメラマンの姿を探したら、場所が判った。

発見した時は(トキは?)樹木にとまっていて、数人のギャラリーがカメラを向けていた。良く見ると、両足に足環がついており、背中には発信器のアンテナが見えた。発信器は数年経つと、自然に脱落するらしいが、トキはこのアンテナが鬱陶しいらしく、羽づくろいの途中で、何度もくちばしでしごく様な(引っ張って取りたいみたいな)動作をしていたので、少し気の毒になった。

トキはその赤い顔と長くカーブした大きなくちばしが大変特徴的で、飛び上がると主翼の下部の朱鷺色の羽の色が美しい。田んぼでの索餌行動を観察していると、トキはなかなか餌を捕るのが上手なのが分かった。サギの仲間は水中を片足で掻き回す様にして、獲物を追い出して食べるが、トキの場合は、もっぱら、その長いくちばしを使って、チョンチョンと軽くつついて獲物を探したり、追い出して捕食していた。かなりの頻度で、大きなドジョウ等をついばんでいたので、トキのハンティング能力にも感心したが、黒部地方の田んぼは良好な無農薬に近い状態が保たれているのか、餌になる生き物が豊富なのが分かった。

ササゴイ

学名:Butorides striatus
英名:Green-backed Heron

ササゴイはヨシゴイとゴイサギの中間の様なサギ科の鳥で、夏鳥として東南アジアから本州〜九州の各地へ渡って来る。魚類や蛙を捕食する習性があるので、以前から撮りたいと思っていたがなかなか出会えなかった。

石川県の普正寺の森にはササゴイの池と言う池沼があるので、これまで何度も覗いて見たが、そこでは一度も出会ったことがない。聞くところによれば、ササゴイは夜行性なので、夕方から夜には活発に動くが、日中は餌を捕る時以外は藪の中に隠れているとか。

今回の個体は北潟湖へカモ類の撮影に行き、偶然遭遇した一羽。しばらくの間、水辺に突き出している倒木の上から水面の魚を狙っていたが、獲物が見つからなかったのか、近くの樹木に飛んで来てとまってくれた。飛ぶ時は、首を縮めて飛び、ゴイサギに似るが、体はやや小さく、スマートで精悍な感じがする。熊本県の水前寺公園では疑似餌を使って、魚を捕食する行動が知られているので、一度見てみたいと思っている。

幼鳥はホシゴイ(ゴイサギの幼鳥)に似るが目が黄色い。ビデオに登場しているのは成鳥である。今回、観察していて不思議に思ったのは、かなり丈の長い草むらに侵入し、カエル等の餌を探して俳諧することで、イタチやキツネ等の天敵から身を守れるのだろうかと心配になった。


カワセミ


学名:Alcedo atthis
英名:Kingfisher

青い宝石とも呼ばれるカワセミはバードウオッチャーに人気の野鳥だが、意外と都市部の川でも見られる所が多い。札幌市南部の郊外に、余り人が近づかない寂しげな森に覆われた渓流があって、近場で野鳥の観察が出来る知る人ぞ知る穴場になっている。時々ヤマセミまでも現れる。その川でカワセミが主に狙う魚はトゲウオ科のイトヨである。エゾウグイ等他にもっとトゲが少なく、食べ易い魚がいると思うのだが、イトヨが美味しいのだろうか?いや、丸飲みする訳だから味は二の次に相違ない。

その日も水面に飛び込んでくわえて来たのはイトヨだった。たたき過ぎではないかと思う位に何度も何度も足場の枝にたたきつけて骨を砕き、やっと飲み込むまでにはかなりの時間を要した。食べ終わると、体を洗うためか、もう一度水に飛び込んで、体を清めてから、飛び去って行った。

所で、何故カワセミは垂直の位置から獲物めがけて飛び込むのだろうか?カワセミが水中の魚を狙う場合、余り角度がありすぎると、水面での屈折により、狙った位置に魚はいないので、確立が悪くなる。そのためには、ホバリング状態から真下に飛び込むのが最も正確であると思われる。ついでながら、北海道の場合、冬には暖かい地方に移動すると思われているが、札幌市近郊では、真冬の雪が降る日になっても、カワセミの姿を見ることがある。

2013年12月8日日曜日

味真野のタマシギ

学名:Rostratula benghalensis
英名:Painted Snipe

越前市の味真野周辺は稲作地帯で、水田が多い。水田の一部は地主か農家の都合で休耕田として使用されないまま放置される年があるので、こうした休耕田の内、水があり沼や湿地状態になっている様な場所に初夏の頃、タマシギが住み着いて営巣する。

タマシギは本州中部以南に生息する留鳥だが、全国的にも少なく、なかなか見ることが出来ない鳥の様なので、地元の強みを生かして観察と撮影を続けた。タマシギは夜行性で、繁殖期には夕方、薄暗くなると雌が「コウツ・コウツ」と喉を膨らませる様にして鳴き始める。

鳥の仲間は、一夫多妻が多いが、タマシギは一妻多夫で、4〜10月の繁殖期には、メスが求愛ディスプレイをして、複数のオスと交尾し、何度か産卵する。又、普通の鳥類は雄の方が美しい場合が多いが、タマシギの雄は黄褐色か灰緑色模様の地味な体色である。

生息する水田のエリア内に最初から1尾の雌と複数の雄が一緒にすんでいる事もある。前年の稲株から伸びた若芽や雑草が茂った中にいるので、なかなか体全体が見られる様な状況は少ないが、トラクターのわだちが水たまりになっていて見通しがきく様な場所にカメラを構えていると、そこを横断したり、餌を探して歩いている姿を観察出来る。雄同士が争う様な場面では、羽を大きく広げて互いを激しく威嚇し合う。雛が大きくなると、画像の様に、雄が若鶏を引き連れて歩き、子育てをしている姿も観察出来る。

苫小牧のイスカ


学名:Loxia curvirostra
英名:Crossbil

イスカは、アジアの北部あたりから北海道〜九州に渡って来る冬鳥で、群れをなして行動する習性がある。少数は国内の山地でも繁殖している様だ。雄は尾羽や翼は暗褐色だが、暗赤色でなかなか美しい。雌は灰色がかった黄緑色でやや地味な体色。交叉した頑丈なくちばしを持ち、小型の昆虫の他、アカマツ、カラマツ、スギ、モミ等の球果をむしり取る様にして食べる。

離れて見ている限りでは交叉したくちばしは見え難いが、アップで観察するとそのくちばしを開いたままマツボックリの隙間に差し込んで、くちばしをあわせることにより、カーブした先端部が笠の間を押し広げ、種子をついばみ易くしているのが分かる。

今年は福井県でも東尋坊に近い海浜公園等で、百羽程の大きな群れが見られたが、アトリと同じ様にその数は年によって大きく変動する様だ。(ちなみにイスカもアトリ科の野鳥である)明るい公園などで下枝を落として手入れが行き届いている松の木はかなり高い位置でないと枝がなく、松の実も付いていないので、空をバックに、かなり離れた位置から撮ることを余儀なくされるが、苫小牧では余り背が高くない松の木が多く、至近距離で観察や撮影が出来るので大変有り難い。

イスカが松の実を食べることで、喉が渇くとも思えないのだが、何故かイスカの群は30分おき位に近くの水場へ水を飲みに来るので、場所が判ればそこに待機して撮影することも出来る。

藻岩山・登山道のクマゲラ

学名:Dryocopus martius
英名:Black Woodpecker

札幌市の南西にある標高531メートルの藻岩山はスキー場や展望台があって夜景もきれいな所だ。ロープウエイもあり、観光客が集まる行楽地となっている。この山は軽登山を楽しむ人々も多いのだが、某登山口には駐車場やトイレ、靴の泥を落とす洗い場等も完備されている。その登山口から50メートルも離れていない所に、毎年の様にクマゲラが営巣する場所があって、その年も雛が育っているとの情報が寄せられたので訪ねて見た。

6月の中旬だったので、登山道から見える位置にある樹洞では、もう雛がかなり大きく巣立ちが近い様だ。親鳥は雛に巣立ちをうながすかの様に、餌を運んで来ても少しじらしながら食べさせている。都会に近いので、雛の天敵であるカラスも良く出没するが、同じ黒い鳥でも、クマゲラは貫禄があって、騒々しいだけのカラスとは大違いである。

クマゲラは日本最大のキツツキの仲間で、天然記念物に指定されている。雄はくちばしの付け根から後頭部にかけて赤いが、雌は後頭部のみが赤い。通常はダケカンバやブナ、トド松に営巣するが、ここでは普通、藻岩菩提樹が利用される。クマゲラはその鋭いくちばしで樹皮を剥がしたり、樹木に穴を開けてカミキリ虫の幼虫やアリを掘り出し、アリスイの様に長い舌を出して食べるが、時には丸木舟を作るかの様に、縦に長い大きな穴を開ける。

大都会の市街地にごく近い場所なので、まるで公園の中で撮影している感じでだった。当時は札幌市内に住んでいたので、家から30分以内で行けたから身近な大自然である。

2013年10月3日木曜日

遠山川のヤマトイワナ

学名:Salvelinus leucomaenis japonicus
英名:Kirikuchi char

長野県の南部をながれる天竜川水系の遠山川は数少ないヤマトイワナの生息地である。ニッコウイワナはこれまで何箇所か取材しているが、ヤマトイワナは未撮だった。

遠山川のことを知ったきっかけは、2年間、信濃毎日新聞に「魚ッチング」と言う魚介類の連載をしたのがきっかけだった。なぜなら、1日遅れで毎日その掲載紙が送られて来るのだが、地方紙は野鳥、魚、動物、釣り等アウトドアの内容も多いので、自分の記事をスクラップするついでに読むのを楽しみにしていた。そして目に入ったのが、漁協ぐるみで、ヤマトイワナの保護活動をしている記事だった。

そして取材の当日、漁協に紹介されたYさんの案内で、遠山川上流へ向かった。そこは本州にこんな奥の深い山々があったのかと思われる程の山奥である。昔から大洪水が頻発していた遠山川は、高い堰堤がいくつもあって、とてもイワナが遡上出来そうもない。

漁協ではこれまで、釣り人のためにアマゴやニッコウイワナを放流しているので、下流部では交雑も起きているとのこと。しかし、上流に設けられた産卵場所近辺のイワナはこれまで見たニッコウイワナとはどことなく違っていて、上流に行くほど純血種のヤマトイワナなのかと思われた。さらに車で行けない山奥の支流にはヤマトイワナの聖地(禁漁区)もまだ残っているとのこと。幻のイワナの話に夢が膨らむ取材だった。

早瀬のカワヨシノボリ

学名:Rhinogobius flumineus
英名:lizard goby

カワヨシノボリは中流から上流の流れのある川底に生息している。普通、ヨシノボリの仲間は雄より雌が大きく、繁殖期の雄は、他の雄が縄張りに侵入すると、各ひれを立てて自分を大きく見せ、大きな口を目いっぱい広げて、相手を威嚇するが、カワヨシノボリはその代表選手で、頻繁にその行動をする。

この日も大きなビデオカメラに2個のライトを煌々とつけて私が接近しても、お構い無しで闘争シーンを繰り広げていた。雄の第一背びれは大きくて輝く様な色彩であり第二背びれも先端部が明色なので、良く目立つ。おまけに顎が外れないかと思うほど大きく口を開くので、外敵に対する威嚇の効果も大きい。詳細を観察する為に、友人に分けて貰ったペアをしばらく水槽で飼っていたが、余り長生きしないで、半月程で死んでしまった。

淡水魚仲間に聞くと、どうも生き餌しか食べないそうで、冷凍アカムシなどに餌付けばかなり長期間飼えるとのこと。しかし、自然の生き物はやはり生息地の自然の中で観察してこそ意味があると思う。私がこのシーンを撮影してからしばらくして、台風による豪雨があり、若狭湾にそそぐこの清流も50年に一度あるかないかと言う災害に見舞われた。ビデオに登場したカワヨシノボリは無事だったのだろうか?

淡水魚の王者・コイ

学名:Cyprinus carpio
英名:Common carp

鯉は我が国の淡水魚の王者である。体長1.5メートルの記録もある。床の間の掛け軸では鯉が滝を登る姿が描かれているが、残念ながらコイは垂直の滝は登れない。

中国の登竜門の故事には黄河上流の竜門山を切り開いて出来た急流を元気なコイだけが登りきって竜になれると言う言い伝えがあり、立身出世を願ってこれを絵に描いたものである。

多くの日本人は黒っぽいコイや、錦鯉が泳ぐ姿を池の水辺や橋の上から観察したことがあるだろう。ゆったりと泳ぐコイの姿は何となく心を癒してくれるものを感じる。

餌を与えて見ると、パクパクと一旦口に入れるが餌をそのまま飲み込むのではなく、モグモグと喉の奥で噛み砕いてから食べているのが分かる。そうコイ科の魚は口の中には歯がないのだ。水面上から見たコイは丸太状に見えるが、水中から見ても丸太状の野ゴイ型は最近では少なくなってしまって、体高の高いヤマトゴイ型が殆どである。

今回ビデオに紹介しているコイは世界遺産となった富士山を望む山上湖で撮影したものだが、やはりヤマトゴイのタイプで野鯉ではない。砂泥底からカワニナやタニシ等の巻貝を探し出し、喉に有る咽頭歯という丈夫な歯でかみ砕いてから飲み込む。夜行性ではないので、夜は倒木や岩の陰などで眠っている姿が見られる。

2013年9月14日土曜日

苔を食むアユ

学名:Plecoglossus altivelis altivelis
英名:Ayu(Ayu Fish)

初夏、川のあちこちで銀鱗を光らせながら苔を食むアユの姿は季節の風物詩である。アユは年魚なので、生まれて1年足らずで活発に餌を食べるのは親に教えられたことではなく、本能と言えるのだが、その生命力の強さには感動せずにいられない。

岩の表面に体ごとぶつかる様な勢いで突進し、櫛状の歯で岩苔をそぎとって食べ、ぐんぐん大きくなり、時には1尺(33cm)サイズにまで育つ「尺アユ」も見られる。

岩についたそぎ跡を「アユの食み跡」と呼ぶが、面白いことに、自然度の高い渓流のきれいな底石では余り目立たない。少し濁りがある様な川でうっすらとほこり状の泥をかぶった岩の場合には大変良く目立つ。矢羽状の模様だが、連続していると帯状になる。又、川の流量が少なくなって、底石が水面上に干上がっている時に発見することも多い。

若魚の内はまだ群れで行動しているアユだが、次第になわばりを持つ様になり、気に入った川底を見つけるとそこに定着する様になる。なわばりに侵入しようとする他のアユを見ると果敢に攻撃して追い払うのだが、この性質を巧みに利用したのが、「友釣り」である。外敵のアユに対する攻撃はスピーディでかなり激しい。しかしヨシノボリやドジョウの仲間がなわばりに入っても、敵とはみなさないのか通常攻撃することはない。

海から遡上する天然アユは年々減少している。多くの漁協では琵琶湖などからコアユを購入して放流したり、養殖も行われているが河川環境を守ることが最も重要であることは言うまでもない。

巣立ちの早いバン

学名:Gallinula chloropus
英名:Moorhen(Common Gallinule)

盛夏の休耕田でクイナ科のバンが営巣していた。農道に車を止めて見下ろせる位置なので、車内から撮影出来るが、日陰のない場所なので、カンカン照りの時は暑くてたまらない。かと言ってエンジンを止めずにクーラーを付けていては、バンが警戒して巣から離れてしまう。その日もバンが巣を離れてしまったので、その隙に長靴を履いて湿地へ入り、巣をのぞいて見た。

驚いたことに巣の中には所狭しと10個もの卵が産み付けられていた。そう、バンは同種内で托卵する習性があり、1個の巣に複数の雌が卵を産みつけるのだ。(文献によれば20個の記録もあるとか)なるほど近くの水張り田んぼでは子育てを仲間にまかせたバンの小群がいるのだが、まるで保育園に子供を預けて遊びほうけている母親のグループに似ている。

翌日、親が立ち上がった時に、1羽の雛の姿が見えた。雛の頭の部分はまだ毛が生えておらず、ハゲタカの雛見たいだが、体はほぼ黒い産毛で覆われている。全部の雛がふ化した場合、はたして狭い巣の中で無事育つことが出来るだろうかと心配になった。あと9ケも卵があるから次々とふ化したらにぎやかなことだろうし、面白いビデオになるかも知れない、毎日観察しながら少しずつ撮ろうとのんびり構えていたその翌日の夕方、あっと驚く事態が起こった。私がカメラを構えて撮り始めてから、親が巣を離れたのだが、昨日生まれたばかりの雛がヨチヨチ歩いて親の後を追い、巣から飛び出してしまったのだ。なんと驚異的な巣立ちの速さであろうか。一昨日は全部の卵を確認しているので、間違いなく丸2日で巣立ちをしたのである。その後もふ化した順に巣立つ感じで、残念ながら10羽の雛が巣の中にいる情景は夢となってしまった。

ミサゴは魚のハンター

学名:Pandian haliaetus
英名:Osprey

最近良く話題にのぼる垂直離着陸の出来る軍用機オスプレイとはタカ科の猛禽類、ミサゴのことだと言うのは皆さんご存知ですか?ミサゴは魚類を主食にしている猛禽類で全国で繁殖している留鳥。川や湖の水面上空でホバリングし、狙いを定めて水中に飛び込み、魚をかぎ形の鋭い爪でわしずかみにしてとらえる。つまり、ヘリコプターの様に空中に静止することが出来ます。只、ホバリングするだけならカワセミだって上手ですが、カワセミでは軍用機の名前としては迫力がないのでミサゴになったのでしょうか?

しかし航空機のオスプレイは野鳥のミサゴに比べてまだまだ大きく劣っていると思われることがあります。それはオートローテイション機能がないので、片方のエンジンが故障した場合(水平飛行中なら直ぐには墜落しませんが)ホバリング状態だと墜落してしまいます。

又、水上飛行艇並みの耐圧防水構造になっていないので、水面へ気軽に不時着したり、再度飛び立つと言う芸当は多分出来ないでしょう。ミサゴは10m位の上空から水面の魚めがけて急降下する訳ですが、一時的には全身が水中に没することもいといません。そして、ずぶ濡れになりながらも又、飛び立てます。

それはさておき、ミサゴのハンティングは百発百中ではなく、むしろ失敗する確立が高いのです。このビデオでも大き過ぎるコイを狙って失敗しています。しかし、何度も繰り返しアタックするので、いつかは成功することもあって、ご馳走にありつける訳です。

春先、海岸の岩棚や川岸の大木の樹上に営巣するが、子育ての時期にハンティングは最も活発で、毎日なわばりにしている河川の上空を行ったり来たり、獲物を求めてパトロールする姿が見られる。

2013年8月21日水曜日

コアジサシ・中洲の子育て

学名:Sterna albifrons
英名:Little Tern

石川県を流れる某河川の下流にある中洲は知る人ぞ知るコアジサシの繁殖地である。今年も約150羽が営巣して子育てをしていた。撮影は中州を望む岸辺から狙うことになるのだが、距離的にはやや遠いのが難点ではある。親鳥が雛に運んでいるのは季節柄アユが主で、活魚の美味なアユを飽食して雛はぐんぐん大きくなっている様子だ。

営巣している地面は砂利なので、親鳥はカンカン照りの中で卵を抱いている訳だが、暖めると言うより、立ち上がって卵が暑くなり過ぎない様に、日陰を作ってあげていることが多い。やや大きくなった雛の場合は近くの雑草の根元附近の日陰に身を寄せて、時々餌を運んで来てくれる親鳥を待っている。

親鳥は雛に餌を食べさせた後、集団で水浴をしたり、川面に飛び込んだり、飛びながら嘴をつっこんで水を飲んだりして熱中症の予防らしい行動をしているので、このタイミングを狙って、かっこよく翼を広げて飛ぶ姿をスチール写真で捉えることに挑戦して見た。

彼らの飛翔は素早いので、最初はフレーム内にその姿を入れることすら難しいが、何度か懲りずにやっていると、だんだんそのパターンが飲み込めて来て、マニュアル・フォーカスながら徐々ににピントのあったカットが撮れる様になった。

今回はビデオの途中にこうして撮ったスチール写真をズーム機能を使って挿入して編集した。ビデオではストップ・モーションにしても、くわえている魚がアユなのかオイカワなのか判らないからだ。我々は猛暑の中2〜3時間は頑張ったが、撮影を終了し、その場に別れを告げた。

その後2〜3週間経って、北陸地方は近年にない豪雨に見舞われ、中洲まで水をかぶったと地元のバーダーから報告があった。あの雛たちは洪水の前に全員無事巣立つことが出来ただろうか?その日の夜、親鳥が雛を掴んで舞い上がる姿を夢に見た。

夜の湖底で出会ったウナギ

学名:Anguilla japonica
英名:Japanese eel

ウナギは夜行性なので、昼間岩の隙間や護岸の石垣の間に潜んでいて、探してもなかなか見つけることは難しい。ウナギは暗黒の深海で産卵する訳だし、暗闇でも行動出来る超能力をもっているのだから、夜間に俳諧するのは身を守るためとか言うよりも餌との関係が大きいと思われる。甲殻類も夜行性が多いし、小魚は睡眠中なので、寝込みを襲いやすいことがその理由と思われる。

その日は夕方まで、少し風があって湖の水面にはさざ波があった。多少の波でも水中撮影には好ましくないので、夕方の潜水を早々に切り上げ、車中で仮眠していた。夜中の1時過ぎになってふと眼をさますと、山上湖の上空にはまだ黒雲が残っているものの、湖面には微風もなく、ベタ凪の状態になっていた。

ウナギに負けず夜鷹の習性が抜けきらない私は次第に目が冴えて来て、体調も絶好調である。今回もアシスタントのいない取材だが、家で待つ娘のためにも必ず生きて戻ってこなくてはならない。しかも手ぶらではなく、目的の映像を撮って帰らなくてはならないと改めて気を引き締める。

潜水器材とビデオカメラ関係を入念に再チェックし、シトシトピッチャンと静かに水面下の人となる。今回は水中ライトNEMOの他にHDカメラには 3500ルーメンのAQUAVOLT ・LEDライトを2ケセットしたので、透明度のあがった水中はこの上なく明るく小気味良い。次々とご覧の様に、大きなウナギが出没し、モデルになってくれた。20年前に良く通ったポイントであるが、今も往時のままの生態系が残っていてタイムスリップした様な一夜だった。

雛が可愛い・アオバズク

学名:Ninox scutulata
英名:Brown Hawk Owl

我が家のほど近い場所に霊峰日野山がそびえていて、事務所の窓からもその山頂を望めるのだが、その麓の登山道の入り口に日野山神社があり、毎年初夏の頃にアオバズクが渡って来て、子育てをする。雛が巣立つ頃には、親鳥が見張りに出ているので発見しやすい。又、稀にブッポウソウが近くにいることがあるのでその営巣も期待していた。

今年もブッポウソウは駄目だったが、巣立ったばかりのアオバズクの雛を撮りたいものだと待ち構えていると、数日後、仲間から「雛が出たよ」と言う電話が入ったので、早速出かけて見た。アオバズクの雛は4羽のことが多いそうだが、この時はご覧の様に2羽の雛と1羽の親鳥が並んで高い小枝にとまっていた。

普通のフクロウの雛も可愛いが、アオバズクの雛はクリクリ目玉ですこぶる愛らしい。私がカメラを覗いている時、友人が良く見える位置へ三脚ごとカメラを移動していると2羽の雛の目玉がその動きを追って一緒に動いているのに気が付いて笑ってしまった。巣立ちして間もない雛なのにちゃんと視力があるらしい。

彼らはどんな思いで人間を見ているのだろうか?最も親鳥は人間を見慣れている筈だから、先祖代々恐怖感は感じないのかも知れない。そこは鎮守の森で直ぐ近くには和尚さんの家族も住んでいるので、暖かく見守られている環境ではある。これからも毎年訪れて欲しいものである。

2013年7月17日水曜日

ミソサザイの営巣と巣立ち

学名:Troglodytes troglodytes
英名:(Winter)Wren

渓流などで見かける小鳥。チャッ、チャッと鳴きながら移動し、小さな丸みのある体にピンと立った尾羽がある。動きが早いのでなかなか背景と調和した写真を撮ることが難しい。一見地味な体色だが、明るい所で見ると、渋みのある玄人好みの羽の色をしている。一夫多妻の野鳥として知られるが、繁殖期に雄はコケ類を利用した複数の巣を作り、雌を誘う。新居を幾つか用意して、気に入った巣を雌に選ばせると言う粋な習性を持っているのだ。

話には聞いていたが、今回の場所にも、近くにもう1個の巣があった。そちらは日当たりの良い岩の斜面にあるが、残念なことに、実際に雛がいるのは、日の当たらない岩の側面の薄暗い所にある方の巣で、親鳥が頻繁に餌を運んでいた。やむおえずカメラのISO感度をヤケクソ設定の最高レベルにまで上げて撮影を続ける。

しばらくして、この分だと巣立ちが近いのでは、と思った次の日、親鳥は巣立ちをうながすかの様に餌を巣の中まで運ぶのをやめて、巣の外で雛を呼ぶ行動に転じた。巣の場所の直ぐ下側は滝壷から泡だって流れ出す急流であり、その流れは一旦トンネル状の大岩の基部へ吸い込まれて行くと言う難所で、もし雛がそこに落ちたら助からないだろうと思われたので、見ていても気が気ではなかった。

当初雛は巣から出て来たものの、怖がって飛び立つことが出来ず巣にしがみついていたが、再三の親鳥の呼び声に誘われて、けなげにも三羽の雛たちが次々に飛び去って行った。しばらくして、川岸の森に親鳥と雛の姿がチラリと見えたので何とか無事だったのかと胸をなでおろしつつ取材を終えた。

オオルリは幸せの青い鳥




学名:Cyanoptila cyanomelana
英名:Blue-and-white Flycatcher

札幌に住んでいた頃、イトヨの生息する渓流が市内にあって、潜った後川の畔で休んでいると、青葉、若葉に覆われ始めた高枝に止まり、きれいな声で囀っていた青い小鳥が目に入った。その出会いは印象的な光景として今でも脳裏に焼き付いている。

その後は、姿を見つけてもなかなか良い環境でじっくり観察したり撮ったりする機会が少なかったのだが、今年になって、石川県の野鳥公園で八重桜の枝にとまっている写真がマニアのブログに載っていたので、これは感動ものかも知れないと早速訪ねて見た。

案の定オオルリが園内に数羽飛来しており、これまでの努力は何だったのかと思える程接近出来るので、「今日はオオルリday♪♪」とばかり、スチールとビデオで迫った。

アストロアーツ刊「野鳥の撮影術」に「オオルリを美しい青色で撮るのは難しい」と書かれてある。私も沢山撮って見て判ったのだが、なるほどわずかな光線状態の変化で微妙に羽の色合いが違ってしまう。雄の腹部は純白なので白い部分はあくまでも白く、背中や主翼の青い部分はきれいな青い色にと言うバランスも大切なので、満足出来る感じに撮れたカットは僅かだった。(ついでながら、ビデオの最後に登場するのは雌で、地味な体色)ともあれオオルリは春と秋の渡りの季節になると全国の公園などでも見られるので、野鳥マニアの絶好の被写体であり、今後も皆が幸せな気持ちになりたくてウォッチングする人気の野鳥であることに変わりはないことだろう。

立山連峰のライチョウ


学名:Lagopus mutus
英名:Rock Ptarmigan

本州中部の山岳地帯にしか生息しない雷鳥は以前から会いたいと憧れていた鳥であった。ダイバーなので、高山に登る暇がなかったし、縁遠かったのだ。しかし、数年前から福井県に転居し、距離的には生息地に近づいたので、密かに情報を集めたりして準備をしていたが、幸いにも野鳥の好きな友人と意気投合し、去年(2012年)の秋に初めての立山登山の夢がかなった。

富山の立山駅まで車で行き、ケーブルカーに美女平迄乗車し、そこでバスに乗り換え室堂と言う登山者の出発点にもなっている地点迄座ったまま登る。前回はそこでこれから「登山か・・・」と溜息まじりの深呼吸などしたのだが、実はもうそれ以上の標高に行かなくてもその建物の玄関先でライチョウに会えるのには驚いた。

去年は秋口だったので、暑さを嫌うライチョウはハイマツの茂みに隠れる為、探し回ってやっと遠くにいたのを目撃出来た程度だった。しかし、今年は6月始めだったので、ベストシーズン。ライチョウは求愛の季節だし、若芽や若葉を求めて食欲も旺盛なので人間を怖がらず、雌雄が何処からでも現れ、望遠レンズ装備では近づき過ぎて困る程だった。

友人は携帯電話のカメラで撮影した画像をそのまま待ち受け画面にした程だ。野生の象徴と思っていた雷鳥は、まるで鶏の様に人慣れしていて、大勢の観光客の前でモデルよろしくすまし顔であった。おまけに、山小屋に1泊した次の日も上天気に恵まれたお陰で前から撮りたいと思っていたカットを午前中でほぼ撮り終えることが出来た。しかし午後になるとにわかに濃い霧が下界から湧き上がって来て、視界が悪くなり、やはり高山の自然はワイルドで、我々はただ幸運だっただけかも知れないと悟ったのであった。

2013年6月25日火曜日

沼のギャング・カムルチー




学名:Channa argus
英名:Noorthem snakehead

別名:雷魚。私の子供の頃は、近所の沼に沢山のカムルチーが生息しており、生きている蛙を餌にしてポカン釣りを楽しんだものである。水面を泳ぐカエルに水中から接近し「ガブリ」と飲み込むので、迫力満点の釣りである。

釣り上げた魚は自宅で太い土管型の池に飼っていた時もある。何匹も飼っていると十分な餌が与えられない時、小さめの個体が大きい個体の餌となる。つまり共食いがおこる。仲間も餌にする凶暴な奴である。

カムルチーが水中のギャングよろしく在来の貴重な淡水魚を食べてしまうので、生態系が破壊されると大騒ぎになることもあった。しかし、カムルチーのいる池沼にブルーギルが放流されると事態は一変し、カムルチーの稚魚がブルーギルの絶好の餌となって、カムルチーは増えることが出来なくなっている。ブラックバスも同じ状況ではあるが、カムルチーに比べて稚魚の保護が徹底しており、子育てする本能が強いので大きく生息数を減らす事態にはなっていない。

近年、新潟県の瓢湖へヨシゴイと言う野鳥を撮影に行った。ヨシゴイは蓮の茎に擬態する習性があり、茎に掴まって身を隠し、小魚を狙うのだが、大型のカムルチーが水中からこれを襲うこともあり、中には片足を失ったヨシゴイもいるとか。爬虫類や両生類ばかりか野鳥まで襲う訳で、雷魚に比べれば普通の魚食魚はまだ可愛いと言う感じである。

産卵床を守るブラックバス

学名:Micropterus salmoides salmoides
英名:Largemouth bass

別名:オオクチバス。琵琶湖では毎年5月の連休の頃からブラックバスの産卵が始まる、しかしこの時期、天候に恵まれれば釣り人の数も増えるので、産卵床を守っている親魚でも時々釣り上げられてしまうことになる。とは言えキャッチ・アンド・リリースなので、又、水中に戻され、卵を守り続けることが出来る。

産卵床を守っている時は、私の様にカメラを持って水中から近づこうとすると、大きなバスの親魚が果敢に威嚇、攻撃してくるので用心しなくてはならない。まず、攻撃してくる個所は動かしている足であるが、私の場合、噛み付かれてもアユ釣り用の足袋を履いているので問題ない、しかし頭を狙って来る場合もあり、ウェット・スーツのフードをかぶっていても痛い程だ。

サンゴ礁の海で潜っている場合も、ゴマモンガラ等が産卵床の卵を守っている場所では注意が肝要であり、それに比べればブラックバスの攻撃は恐れる程強力ではない。問題があるとすれば、水中ハウジングのフロント・ポートかも知れない。高価な部品であるがプラスティック製なので、簡単に傷が付いてしまう。

しかしこれとて水中側に少々の傷がついても、撮影した画像には影響ないので、この日も攻撃にひるまず撮影を続けた。一昔前は産卵床の周囲には沢山のヨシノボリの仲間がいて卵を狙っていたものだが、今は全く姿がなくなり、湖底にたむろしているのはブルーギルの群だけという水域も多く、変わり果てた水の都、琵琶湖の現在の姿には胸が痛む思いである。

可憐なセイタカシギ

学名:Himantopus himantopus
英名:Black-winged Stilt

英名は「黒い翼のある竹馬」の意。細長い竹馬の様な足は淡紅色だが濃い紅色の個体もいて(ビデオ参照)美しい。面白いのはその長い足で頭を掻いたり首を羽づくろいする時で、ビデオの様に脇の下から足を持ち上げる。ケリも同じことをするが、セイタカシギはより足が長いので目立つ動作となる。

次に餌を探す時は映像で判る様に、細長い嘴をやや開いた状態で水面から差込み、移動しながら泥の中をじぐざくに掻き回して餌を飛び出させ捕食する。餌はオタマジャクシやドジョウ、エビ、カニ等だが、双眼鏡で観察しているとヒルやミミズらしいものも食べている。貴婦人と呼ばれる美しい姿に似ず、やや下手物食いなのが「玉に瑕」ではある。尚、雌の体色は淡褐色だが雄は青黒い翼をしている。又、雄の夏羽では頭頂と首の後が黒くはっきりしているが、頭部の濃淡は必ずしも性別とは関係ない様だ。

スチール写真では偶然に両方の翼を思い切り上に広げて伸びをしているカットが撮れたので、今度は飛び立つ所を撮りたいと秒間9コマ撮れるカメラで何度か挑戦した。横向きに飛び立ってしまうと、多くの場合画面からはみ出して失敗してしまうのだが、正面向きのまま飛び上がってくれたことがあって、何とか念願のカットを撮ることが出来た。

2013年5月15日水曜日

でんぐり返るコハクチョウ

英名:Whistling Swan
学名:Cygnus columbianus

コハクチョウはオオハクチョウより一回り小さく、その美しい姿ゆえに一般の人達の人気は高いが、地方によっては普通種なので野鳥オタクには思った程関心を持たれない。

白鳥がより美しく見えるためには周囲の環境が大切で、澄んだ湖や背景の雪山などによってさらに引き立つ。私はなんとなく癒されるものを感じるので環境はさておいても(仕事柄500mmの望遠レンズを向けてはいるが)しばらくは見入ってしまうことが多い。実を言えば、コハクチョウの群れには稀にくちばし部分が全部黒いアメリカコハクチョウが混じっていることがあるので注意して見ているのである。

毎年冬の間北国から渡って来たコハクチョウが越冬する九頭竜川水系の日野川でのこと。この日もお腹がすいたので持参したおにぎりをほおばりながら河川の堤防の上の道路に愛車のパジェロを止めて眺めていた。するとのんびりと羽づくろいをしていた数羽の内の1羽が何と水面でひっくり返ったのだ。水鳥が溺れる訳もないのだが、二本の足を空に向けてパタパタと動かしながらまるでもがいている様に見えた。羽づくろいのついでにかゆい背中を洗うためではないかとも想像されるが、面白い生態を発見出来たのは収穫だった。

カンムリカイツブリの交尾と営巣

英名:Great-crested Grebe
学名:Podiceps cristatus

カンムリカイツブリは日本産のカイツブリの仲間では最も大きい種類である。冬羽では頭頂が黒っぽく、冠羽も短いが、夏羽では扇状の飾り羽があり、くちばしも暗色になる。

5月の連休の頃には、毎年北陸地方の某河川の下流部の葦の生い茂った場所に営巣するので、雌雄が水面を走り回る面白い求愛行動が見られると言う情報を聞いた。待機して楽しみにしていたのだが、今年は天候の関係でその時期を逃してしまい、現地を訪れるのが1週間程遅れたために、もう巣作りが始まっていて巣の中には2ケの卵が見られた。

産卵を終えてしまったと言うことは、もう求愛の時期が終わってしまったのだから、又来年のお楽しみかとうなだれたが、それでも夏羽がきれいなのでカメラを向けて撮影を始めた。その内雌が巣の中で低い姿勢をとり始めたので、上空に猛禽類でも来たのかと思っていると、今度は雄が水面から巣の上に飛び上がり、雌の背中に乗って交尾を始めた。それが終わるとまるですべり台の様に雌の頭の上を通過して水面に滑り降り、冠羽を扇状に広げて歓喜のポーズを見せた。「アレレレ」1回目は予期せぬ行動だった為、滑り降りたところから先は撮りそこなったが、10分もしないで、もう一度同じ行動をしてくれたので、何とかこのビデオを撮ることが出来た。2個の卵があるのにまだ交尾していると言うことは、3個目以上の卵を無精卵にしないためなのかどうかは定かでない。

ウミネコの交尾スペシャル

英名:Black-tailed Gull
学名:Larus crassirostris

北陸の某銘川の河口に近い下流域。新しい国道8号線の橋に平行して旧道の橋が歩道として残されている。川には砂利の中洲があってカモメ、アジサシ、シギやサギの仲間やカワウ等がその歩道橋の上から観察出来る。

5月の中旬にはコアジサシが集まって営巣すると言うので、早めに訪れたのだが、まだ数が少なく数羽のみが飛び交っている程度だったが、中洲にはすでに求愛行動に近いラブラブのペアも見られた。その日は4月下旬のかなり暖かい日だったので、カモメの群れが水浴びを始めた。その横の水辺には仲の良さそうなウミネコのペアも寄り添って求愛行動をしていた。

ウミネコなんか撮りに来た訳ではないぞと偏見と差別に近い心情だがそれでもチラチラと横目で観察している内に大きな雄が小さな雌の上に飛び乗って交尾の体勢になった。体の大きな雄はなかなか小さな雌の上で体を安定させることが出来ず、主翼を羽ばたかせていたが、何とか尾びれをねじる様にして合体に成功、しかも5連発の奮闘振りはダイナミックでその強精ぶりに関心させられた。

スッポンやウナギは元気の出る食べ物として有名だが、その内ウミネコの焼き鳥なんかも同じ目的で利用されるかも知れないなどと不謹慎なことを考えながら帰途についた。