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2014年12月18日木曜日

柿を食うムクドリとコムクドリの水浴

学名:Sturnus cineraceus
英名:White-cheeked Starling

ムクドリは夕方になると大群で国道○号線添いの街路樹に集まって来る。竹林や森の中で眠ればゆっくり静かに眠れると思うのだが、猛禽類の攻撃を恐れているのか、車がひっきりなしに通る大通りのネオンで明るい場所を寝ぐらにしている集団がいる。ギャー キュルキュルと鳴き声もうるさい上に糞害もあるので、近くの商店や会社ではさぞかし迷惑なことだろうと思う。

ムクドリはくちばしと足は黄色いが体色は地味であまり可愛いらしくもないので、普通はレンズを向けることはない。北海道から九州に生息する鳥だが、九州では数が少ないとのことだ。柿が熟す時期になると、群れで集まって来て、次から次へと移動しながらどんどん食べつくして行く。熟した柿の実の傍では、むさぼり食っている暗色のムクドリの体色が意外と目立ち、車を止めてつい見とれてしまう。越前では何処の家にでもと言う位、あちこちに枝もたわわに実がなった柿の木が見られるが、一部を干し柿などに利用する程度で、そのまま鳥の餌にしてしまう家も多く、野鳥にとっては食べ物に困ることのない嬉しい季節であろう。

我が家の裏庭にも大きな渋柿の木と甘柿の木が3本あるが、渋柿は半分ぐらい取ったら野鳥の餌用に残してある。1月の中旬位迄、メジロ、シメ、シジュウカラ、ヤマガラ、ウグイス、ヒヨドリ等が食べに来るので、貸切で撮影出来るから楽しい。ラストの水浴びシーンはコムクドリで、体色が白いので区別出来る。

ニッコウイワナ・仔魚、若魚、成魚

学名:Salvelinus leucomaenis pluvius
英名:Japanese Char

日野川の支流の田倉川の上流に潜って見ると、ヤマメばかりかと思っていた渓流に何とニッコウイワナも少なからず生息しているのが判った。体長10〜15センチ位の若魚も多いので、昨年の秋にふ化した個体かと思われる。イワナは地味な体色で体に虫喰い模様がある魚だが、明るい体色の若魚は黄緑色の美しい模様をしているものもいる。

おだやかな天気の日には川底の岩の上にいる水生昆虫等を活発につついて捕食している。成魚のサイズになるとかなり用心深くなるのか、大きい岩の隙間や下部に潜んでいるか、白泡の下等に隠れているので、偏向グラスを着けた釣人にも発見出来そうもないが、水中撮影もそれだけ難しくなる。

仔魚は卵からふ化した個体を数年前に水槽で撮影したものだが、もう胚嚢が小さくなっていて、間もなく砂利の間から泳ぎだす段階。このサイズではまだ虫喰い模様が出ていない。この渓流の上流には山奥に小さな池があって釣人が食べるには小さすぎるイワナを放流するとかで、いいサイズのイワナが群れているそうだ。

地図をたよりに車をすすめると、(最近は渓流釣りも以前ほどのブームではないので、訪れる人もないのか)細い山道には草木が生い茂り車も入れなくなってしまっている。又、その周辺はツキノワグマの生息地で、友人も数日前に親子のクマを見ているとか。単独での取材は危険なので、友人と来たときに再度挑戦しようと、その湖まで行くのは諦めて帰途についた。

昼間にヒル食うタカブシギ

学名:Tringa glareola
英名:Wood Sandpiper

チドリ目シギ科の野鳥。漢字名は「鷹班鷸」なので、鷹の班紋をしたシギと言うことの様だ。雌雄は同色。頭部は灰褐色で白い斑点がある。夏羽は灰黒褐色の背面に白や淡灰色の斑点がある。腹部や翼の下面は白色。冬羽は褐色味が強くなり、黒班が不明瞭になる。シギの仲間は海岸の砂浜や河口の干潟等に見られる種類が多いが、タカブシギは内陸部の水田や湖沼の干潟等淡水域で見られることの多い普通種である。

英名の由来は、繁殖地では谷地坊主(ヤチボウズ=スゲ)の茂る森の近くの湿地で営巣することから。尾を上下に振りピョツピヨツピョツと鳴きながら、餌を探して干潟を歩く姿は可憐で可愛い。体色はモノトーンだが、清楚な感じである。双眼鏡を使って観察していると、時々泥や水中から細長い物を引っ張り出して食べている。良くみるとどうやら食べているのはミミズやヒルの様で、その可憐な姿に似あわずゲテモノ食いである。

そういえば以前セイタカシギを水田で観察していた時もヒルやオタマジャクシ等を食べていたのでそのスマートで可憐な姿にメロメロだった僕にはショックだった。美しく愛らしい野鳥はキレンジャクやヒレンジャクの様に赤く熟したナナカマド等を食べる菜食主義であって欲しいのだが、現実はそんなにロマンチックではないようだ。

2014年12月2日火曜日

アトリ・群れで飛来

学名:Fringilla montifringilla
英名:Brambling

スズメ目アトリ科アトリ属の野鳥。毎年秋になるとアトリの大集団が渡って来る。その群れは餌を求めて忙しく飛び回り、田んぼや草原に舞い降りるのだが、一斉に向きを変えて飛ぶ姿は壮観である。

札幌に住んでいた頃は雪景色の中、街路樹のナナカマドの実を食べに来る姿が良く見られた。熟したナナカマドの実は真っ赤で柔らかく塊状になっているが、そこに雨覆がオレンジ色をしたアトリの雄がとまって食べているととてもカラフルで、つい立ち止まって見とれてしまう。バックが青い空ならさらに良い。以前はツグミ同様食用の野鳥としてカスミ網で捕獲されていた。ユーラシア大陸の亜寒帯針葉樹林で繁殖し、現地ではコメツガやモミ等堅い針葉樹の種子を好むらしい。日本列島では冬鳥または旅鳥で、年によって渡来数の変動が多い種類としても知られる。

群れの近くには時々ハイタカやオオタカ等の猛禽類も散見される。特に西日本では、度々数千から数万羽と言う大きな群れを作るので、アトリが少ない年は何となく寂しく感じられるほどだ。大きさはスズメと同じかちょっと大きい位なので、枯れ木にとまったアトリの群れを良く見ると時々スズメが数羽混じっていることがある。アトリは「花鶏」と書くが「あっ鳥だ!ア・トリだ」と空を見上げるからではないかと冗談を言う人もいる。英名のBramblingは「木いちご摘み」の意味とか。

カジカの捕食シーン

学名:Cottus pollux
英名:Japanese fluvial sculpin

カサゴ目カジカ科の魚。本種は海へ降らない大卵型で小型種。幼少の頃、田舎の川でカジカ捕りをして遊んだので、カジカのいる川に潜って撮影していると、何故か幸せな気分になれる。この日も透明度抜群の渓流でカジカを見つけたので、じっくり観察しながら撮影していた。

カジカは水生昆虫等を餌としているが、餌を発見すると大きな口をあけてダッシュし、砂ごと飲み込む。砂は後で噴出すのだが、砂も一緒に胃袋へ入ることも多いと思われるので、糞づまりにならないかと心配になる。しかし、イワナ等は嵐が来て川が増水すると、バラストがわりにわざと小石を飲み込んで体を重くし、岩の下等に隠れて流されない様にする習性があるらしいので、余計な心配かも知れない。

ビデオの途中からフレームインした小型のカジカは雌なのか若魚なのかは不明だが、その行動はとても可愛らしい。このカットを撮影した渓流はいくつもの大きな堰堤で仕切られているので、下流部へ降ることは出来るが、ここより上流には遡上出来ない。ボウズハゼの様に吸盤がついてないカジカは、堰堤の壁をよじ登ることは出来ないので、釣人か誰かが、運んで上流へ放流しなければ生息していないと思われるのだが、何故か上流側にもいる。カジカは漢字名で「鰍」と書く。夏をイメージする魚なのだが、何故か秋の魚なので今回は秋に撮影して見た。ちなみに「秋刀魚」はサンマのことである。

ウソの水浴び

学名:Pyrrhula pyrrhula
英名:Eurasian Bullfinch

スズメ目アトリ科ウソ属の野鳥。頭が黒く、雄は喉から頬がピンク色、嘴が太くて短く黒い小鳥で、生息数は余り多くない。ビデオは雄で、雌は茶色と黒色の配色。本州以北のやや標高の高い針葉樹林で繁殖するので、なかなかその姿を見られないが、冬季には平地の公園等にも現れることがある。

今回はそろそろ紅葉も終わりかけた海に近い森林公園の小川で水浴びをしていた。天気は良かったが、もう風が冷たい時期であるにも関わらず、シジュウカラ等他の小鳥よりは長い時間かけて水浴びをしていた。北海道では雪景色の森林公園の水辺や広い牧場の草原などで出会っているが、余り接近する機会がなかった。

今回はカメラを構えている所へ現れてくれたので、比較的近距離で撮影出来た。この小鳥は果樹園の新芽や公園の桜、梅、桃等のツボミを食べてしまう害鳥とされ、駆除の対象になっていたこともある。繁殖期には昆虫も食べるが、秋には、ズミ、ナナカマド、ハイマツ等の実を食べる。ウソとは本当か嘘かのウソではなく、語源は「嘘ぶく」の古語。又「口笛」の事を「オソ」とも言うのが和名の由来との説もある。「ピーヒュー」と悲しい口笛の様に囀りながら、脚踏みする様な動作をすることから古来「弾琴鳥」の別名もある。亜種のアカウソはもっと腹部の方まで赤いので、区別出来る。