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2013年5月15日水曜日

でんぐり返るコハクチョウ

英名:Whistling Swan
学名:Cygnus columbianus

コハクチョウはオオハクチョウより一回り小さく、その美しい姿ゆえに一般の人達の人気は高いが、地方によっては普通種なので野鳥オタクには思った程関心を持たれない。

白鳥がより美しく見えるためには周囲の環境が大切で、澄んだ湖や背景の雪山などによってさらに引き立つ。私はなんとなく癒されるものを感じるので環境はさておいても(仕事柄500mmの望遠レンズを向けてはいるが)しばらくは見入ってしまうことが多い。実を言えば、コハクチョウの群れには稀にくちばし部分が全部黒いアメリカコハクチョウが混じっていることがあるので注意して見ているのである。

毎年冬の間北国から渡って来たコハクチョウが越冬する九頭竜川水系の日野川でのこと。この日もお腹がすいたので持参したおにぎりをほおばりながら河川の堤防の上の道路に愛車のパジェロを止めて眺めていた。するとのんびりと羽づくろいをしていた数羽の内の1羽が何と水面でひっくり返ったのだ。水鳥が溺れる訳もないのだが、二本の足を空に向けてパタパタと動かしながらまるでもがいている様に見えた。羽づくろいのついでにかゆい背中を洗うためではないかとも想像されるが、面白い生態を発見出来たのは収穫だった。

カンムリカイツブリの交尾と営巣

英名:Great-crested Grebe
学名:Podiceps cristatus

カンムリカイツブリは日本産のカイツブリの仲間では最も大きい種類である。冬羽では頭頂が黒っぽく、冠羽も短いが、夏羽では扇状の飾り羽があり、くちばしも暗色になる。

5月の連休の頃には、毎年北陸地方の某河川の下流部の葦の生い茂った場所に営巣するので、雌雄が水面を走り回る面白い求愛行動が見られると言う情報を聞いた。待機して楽しみにしていたのだが、今年は天候の関係でその時期を逃してしまい、現地を訪れるのが1週間程遅れたために、もう巣作りが始まっていて巣の中には2ケの卵が見られた。

産卵を終えてしまったと言うことは、もう求愛の時期が終わってしまったのだから、又来年のお楽しみかとうなだれたが、それでも夏羽がきれいなのでカメラを向けて撮影を始めた。その内雌が巣の中で低い姿勢をとり始めたので、上空に猛禽類でも来たのかと思っていると、今度は雄が水面から巣の上に飛び上がり、雌の背中に乗って交尾を始めた。それが終わるとまるですべり台の様に雌の頭の上を通過して水面に滑り降り、冠羽を扇状に広げて歓喜のポーズを見せた。「アレレレ」1回目は予期せぬ行動だった為、滑り降りたところから先は撮りそこなったが、10分もしないで、もう一度同じ行動をしてくれたので、何とかこのビデオを撮ることが出来た。2個の卵があるのにまだ交尾していると言うことは、3個目以上の卵を無精卵にしないためなのかどうかは定かでない。

ウミネコの交尾スペシャル

英名:Black-tailed Gull
学名:Larus crassirostris

北陸の某銘川の河口に近い下流域。新しい国道8号線の橋に平行して旧道の橋が歩道として残されている。川には砂利の中洲があってカモメ、アジサシ、シギやサギの仲間やカワウ等がその歩道橋の上から観察出来る。

5月の中旬にはコアジサシが集まって営巣すると言うので、早めに訪れたのだが、まだ数が少なく数羽のみが飛び交っている程度だったが、中洲にはすでに求愛行動に近いラブラブのペアも見られた。その日は4月下旬のかなり暖かい日だったので、カモメの群れが水浴びを始めた。その横の水辺には仲の良さそうなウミネコのペアも寄り添って求愛行動をしていた。

ウミネコなんか撮りに来た訳ではないぞと偏見と差別に近い心情だがそれでもチラチラと横目で観察している内に大きな雄が小さな雌の上に飛び乗って交尾の体勢になった。体の大きな雄はなかなか小さな雌の上で体を安定させることが出来ず、主翼を羽ばたかせていたが、何とか尾びれをねじる様にして合体に成功、しかも5連発の奮闘振りはダイナミックでその強精ぶりに関心させられた。

スッポンやウナギは元気の出る食べ物として有名だが、その内ウミネコの焼き鳥なんかも同じ目的で利用されるかも知れないなどと不謹慎なことを考えながら帰途についた。