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2012年11月8日木曜日

貝を掘り出すミヤコドリ

英名:Oystercatcher
学名:Haematopus ostralegus

珍鳥とも言える野鳥だが、近年は稀に群れが見られることもあるとか。一度会って見たいと思っていたが、野鳥仲間からの情報で、石川県の千里浜付近に出没していると聞いて案内して頂いた。

千里浜は甲殻類や貝類が豊富なので、シギ類が渡るときの中継地域になっているが、日本でも余り例がない変わったドライブが合法的に楽しめる場所だ。延々と続く砂浜がそのまま観光道路になっていて、4WDではない普通の車でも砂に埋まってしまうことなく潮風に吹かれながら疾走することができる。

渚に当たる海水が多く含まれる範囲でも、舗装道路並みの硬さがあって、わだちは残るものの、タイヤが埋まることもなく走ることが出来る。話は横道にそれてしまったが、とにかく双眼鏡で被写体を探す場合でも、渚に凸凹がないので、かなり遠くから何かがいることが見える。その時も遥か彼方からミヤコドリがいるのを発見出来た。車で渚と並行している10メートル位離れた方のドライブ・ロードを走って接近する。

ミヤコドリは赤くて長い嘴を砂に差込む様にして白い貝殻を咥え出しては食べている様だ。「用事のある鳥は逃げない」と言われるがその時も、索餌に夢中で車の窓からレンズを出して撮影している我々にだんだん近寄って来た。超望遠レンズなので、近すぎるのも困ると言う贅沢な状態になる。その内珍鳥さんも「ハット」我に返って50メートル程飛んで移動したが、広げた羽がケリの様に良く目立って印象的だった。


サンコウチョウの子育て

英名:Japanese Paradaise Flycatcher
学名:Terpsiphone atrocaudata

初夏のある日、友人からの情報で、ある森林公園でサンコウチョウが営巣しているとのこと。サンコウチョウはスズメ目カササギヒタキ科の野鳥で台湾やフィリピンから夏鳥として日本列島へ渡って来て繁殖するが、うっそうと茂った暗い林に住むためなかなかその姿を見られない。

まろも「ツキヒーホシ・ホイホイホイ」(月日星と聞きなされ三光鳥と言う和名の由来)と言う独特の鳴き声を頼りに何度も森を徘徊したが、それまで飛んでいる姿を一度見たきりだったので、早速出かけて見た。

高い小枝の途中に作られた小さな巣には数羽の雛がいて、親鳥が戻ってくるとしきりに餌をねだっている。雌は赤褐色の地味な体色だが、雄は体長の3倍もある長い尾羽を持ち、くちばしとアイリングが明るい青色で頭部には冠羽がある。

ひらひらと舞うように森の中を飛び回り、昆虫をフライングキャッチする姿は実に優雅で感動ものである。雛は親鳥が来た瞬間にビビーンと電気で打たれたごとく突然背伸びをして大きな口を開けるので、見ていて飽きない。

撮影を終えた帰り道、近くの小川でサンコウチョウが水浴びに来るところを狙ってカメラを構えているバードウオッチャーがいた。水浴をする時雄は、その長過ぎる尾羽をくちばしで咥え邪魔にならないようにはしょりながらパチャパチャと浴びるそうで、次回は是非その姿をビデオに収めたいと思っている。ついでながら静岡県では本種が県の鳥に指定されている。


ゆかいなミユビシギ

英名:Sanderling
学名:Calidris alba

秋、多くの野鳥が南へ帰る頃、波が寄せては返す渚で忙しそうに餌をついばむミユビシギの群れを見つけた。

体は小さいが歩くスピードは寄せ波より早い。砂中の貝類や甲殻類は当然ながら波をかぶる場所の方が多いので、波が引くたびにギリギリのラインまで侵入する。立派な羽があるのだから飛べばもっと素早く移動出来ると思うのだが、波のスピードの方が早くて間に合わない場合以外は早足で後退する。

多くの個体の後ろ指がないのが和名の由来だが、足の指がチドリの仲間の様に退化して1本足りないのでハイヒールを履いてかけっこしている感じなのになぜこんなに早く走れるのか不思議である。

この群れは純群ではなく、ハマシギも混じっていて、同じような行動をしていた。ミユビシギはハマシギより嘴が短く、喉や腹部が白い。(冬羽なので全体にハマシギよりも白っぽい)割合人を恐れないで、浜辺を散歩する人が4〜5メートルの近距離を通っても逃げない。しかし犬の吠え声とか何かに驚いて一斉に飛び立つこともあって、磯波の真上を数百羽が群れて飛ぶ姿が見られることもある。

この情景が浮世絵的で又素晴らしい。旅鳥として飛来するが、中部日本以南では越冬する群れがあり、石川県では雪の降る真冬でも見られるとのこと。吹雪の海岸で寒そうにかたまっているシギの群れを想像しながら帰途についた。