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2012年10月11日木曜日

キビタキの水浴び・越前編

英名:Narcissus Flycatcher
学名:Ficedula narcissina

 新緑の季節になり、近所の森へ東南アジアからキビタキが渡ってくると、本格的な野鳥の季節になったことを実感する。雌はオリーブ褐色で地味だが雄は眉斑と腰の部分が黄色で良く目立つ。バーダーにとっては、必ず一度は見てみたい野鳥である。

私が始めて遭遇したのは、札幌に移転したばかりの頃で、市内の西岡水源地と呼ばれる緑の多い公園だった。望遠レンズを装着したカメラに一脚を付けて、散歩がてら、森を散策していたときだった。5〜6mしか離れていない、低い枝にその姿を発見し、あわててレンズを向けたが、正面から見ると喉のオレンジ色が濃い個体で、美しかった。

何故その様な所にポツンととまっていたのか不思議だったが、今思えば、キビタキはそうした森の中の下枝にとまって、近くに飛んできた昆虫をフライングキャッチする習性があり、正にわたしは狩の場所で出くわしたと言うわけだったのだ。しかしキビタキも春先に渡って来たばかりの頃は木の先端で縄張り宣言のさえずりをすることを知っている人は少ないだろう。典型的な里地里山の越前市に転居してから、見る機会が増え、水浴びする小さな沢もあるので、ブラインドを張って座り込んだ。警戒心が強く、最初はブラインドから覗いているレンズがほんの少し動いても逃げてしまった。

メジロやヤマガラに混じって時々キビタキが現れる。雄は気性が荒く、コサメビタキが来ると、喧嘩して追い出してしまうが、何故かメジロとは仲良しで、水浴びの混浴も見られる。慣れてくると結構時間をかけて水浴びし、その後近くの枝にとまって丁寧に羽づくろいするきれい好きな野鳥である。

球形の巣を作る・カササギ

英名:Magpie
学名:pica pica

カササギは九州西部に分布する野鳥なので、北陸では見られないと思っていたが、石川県の海沿いにある公園に営巣しているペアがいると聞いて出かけて見た。黒色に青い光沢がある羽毛で腹部や肩が白い美しい鳥だと思っていたので、一度は実物を見てみたかったのだ。

実際に対面して見た感想としては、オナガとカラスの相の子の様な姿であり、飛んでいるときは長い尾が特徴のオナガのイメージで悪くないが、別名カチガラスの名もある様に、その行動はカラスに近く、陸上をヨチヨチ歩きをしたり、跳ね歩いたりする姿はあまり可愛いいとは思えない。

特筆すべきはその大きな巣の形で、ほぼ球形に近く、ななめ上側に出入り口がある。私が行った時も子育て中の様で、何度も巣に出入りしていたが、巣の中の様子までは伺い知ることが出来ないので、雛が何羽いるのかも確認出来なかった。

産卵期は3月中旬頃で通常は5〜8個の卵を産む様だ。今回の巣はビデオに映っている様に公園の駐車場横の樹上に作られていたが、電柱等を利用することも多いとか。大きな声で早口にカシャクシュと騒々しい鳴き方をするのには閉口する。本種は渡り鳥ではなく、定着性が強い種類なので、 17世紀に、朝鮮半島から人為的に持ち込まれた帰化種とされているが、定かでない。

北海道でも室蘭から苫小牧にかけて散見されることから、韓国と交易する船舶によって持ち込まれたとする説も有力である。佐賀県の県鳥で、天然記念物に指定されている。国内では稀種だが、朝鮮半島や中国では普通種で何処にでもいる様だ。