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2013年12月22日日曜日

トキ

学名:Nipponia nippon
英名:Japanese Crested Ibis

佐渡で放鳥されたトキが富山県の黒部に住み着いているとの情報があって鳥仲間と出かけて見た。現場に到着したが、お目当ての場所にはトキの姿が見えないので、地元の方に聞きながら、附近を捜しまわったが、たまたま日曜日だったこともあり、愛鳥カメラマンの姿を探したら、場所が判った。

発見した時は(トキは?)樹木にとまっていて、数人のギャラリーがカメラを向けていた。良く見ると、両足に足環がついており、背中には発信器のアンテナが見えた。発信器は数年経つと、自然に脱落するらしいが、トキはこのアンテナが鬱陶しいらしく、羽づくろいの途中で、何度もくちばしでしごく様な(引っ張って取りたいみたいな)動作をしていたので、少し気の毒になった。

トキはその赤い顔と長くカーブした大きなくちばしが大変特徴的で、飛び上がると主翼の下部の朱鷺色の羽の色が美しい。田んぼでの索餌行動を観察していると、トキはなかなか餌を捕るのが上手なのが分かった。サギの仲間は水中を片足で掻き回す様にして、獲物を追い出して食べるが、トキの場合は、もっぱら、その長いくちばしを使って、チョンチョンと軽くつついて獲物を探したり、追い出して捕食していた。かなりの頻度で、大きなドジョウ等をついばんでいたので、トキのハンティング能力にも感心したが、黒部地方の田んぼは良好な無農薬に近い状態が保たれているのか、餌になる生き物が豊富なのが分かった。

ササゴイ

学名:Butorides striatus
英名:Green-backed Heron

ササゴイはヨシゴイとゴイサギの中間の様なサギ科の鳥で、夏鳥として東南アジアから本州〜九州の各地へ渡って来る。魚類や蛙を捕食する習性があるので、以前から撮りたいと思っていたがなかなか出会えなかった。

石川県の普正寺の森にはササゴイの池と言う池沼があるので、これまで何度も覗いて見たが、そこでは一度も出会ったことがない。聞くところによれば、ササゴイは夜行性なので、夕方から夜には活発に動くが、日中は餌を捕る時以外は藪の中に隠れているとか。

今回の個体は北潟湖へカモ類の撮影に行き、偶然遭遇した一羽。しばらくの間、水辺に突き出している倒木の上から水面の魚を狙っていたが、獲物が見つからなかったのか、近くの樹木に飛んで来てとまってくれた。飛ぶ時は、首を縮めて飛び、ゴイサギに似るが、体はやや小さく、スマートで精悍な感じがする。熊本県の水前寺公園では疑似餌を使って、魚を捕食する行動が知られているので、一度見てみたいと思っている。

幼鳥はホシゴイ(ゴイサギの幼鳥)に似るが目が黄色い。ビデオに登場しているのは成鳥である。今回、観察していて不思議に思ったのは、かなり丈の長い草むらに侵入し、カエル等の餌を探して俳諧することで、イタチやキツネ等の天敵から身を守れるのだろうかと心配になった。


カワセミ


学名:Alcedo atthis
英名:Kingfisher

青い宝石とも呼ばれるカワセミはバードウオッチャーに人気の野鳥だが、意外と都市部の川でも見られる所が多い。札幌市南部の郊外に、余り人が近づかない寂しげな森に覆われた渓流があって、近場で野鳥の観察が出来る知る人ぞ知る穴場になっている。時々ヤマセミまでも現れる。その川でカワセミが主に狙う魚はトゲウオ科のイトヨである。エゾウグイ等他にもっとトゲが少なく、食べ易い魚がいると思うのだが、イトヨが美味しいのだろうか?いや、丸飲みする訳だから味は二の次に相違ない。

その日も水面に飛び込んでくわえて来たのはイトヨだった。たたき過ぎではないかと思う位に何度も何度も足場の枝にたたきつけて骨を砕き、やっと飲み込むまでにはかなりの時間を要した。食べ終わると、体を洗うためか、もう一度水に飛び込んで、体を清めてから、飛び去って行った。

所で、何故カワセミは垂直の位置から獲物めがけて飛び込むのだろうか?カワセミが水中の魚を狙う場合、余り角度がありすぎると、水面での屈折により、狙った位置に魚はいないので、確立が悪くなる。そのためには、ホバリング状態から真下に飛び込むのが最も正確であると思われる。ついでながら、北海道の場合、冬には暖かい地方に移動すると思われているが、札幌市近郊では、真冬の雪が降る日になっても、カワセミの姿を見ることがある。

2013年12月8日日曜日

味真野のタマシギ

学名:Rostratula benghalensis
英名:Painted Snipe

越前市の味真野周辺は稲作地帯で、水田が多い。水田の一部は地主か農家の都合で休耕田として使用されないまま放置される年があるので、こうした休耕田の内、水があり沼や湿地状態になっている様な場所に初夏の頃、タマシギが住み着いて営巣する。

タマシギは本州中部以南に生息する留鳥だが、全国的にも少なく、なかなか見ることが出来ない鳥の様なので、地元の強みを生かして観察と撮影を続けた。タマシギは夜行性で、繁殖期には夕方、薄暗くなると雌が「コウツ・コウツ」と喉を膨らませる様にして鳴き始める。

鳥の仲間は、一夫多妻が多いが、タマシギは一妻多夫で、4〜10月の繁殖期には、メスが求愛ディスプレイをして、複数のオスと交尾し、何度か産卵する。又、普通の鳥類は雄の方が美しい場合が多いが、タマシギの雄は黄褐色か灰緑色模様の地味な体色である。

生息する水田のエリア内に最初から1尾の雌と複数の雄が一緒にすんでいる事もある。前年の稲株から伸びた若芽や雑草が茂った中にいるので、なかなか体全体が見られる様な状況は少ないが、トラクターのわだちが水たまりになっていて見通しがきく様な場所にカメラを構えていると、そこを横断したり、餌を探して歩いている姿を観察出来る。雄同士が争う様な場面では、羽を大きく広げて互いを激しく威嚇し合う。雛が大きくなると、画像の様に、雄が若鶏を引き連れて歩き、子育てをしている姿も観察出来る。

苫小牧のイスカ


学名:Loxia curvirostra
英名:Crossbil

イスカは、アジアの北部あたりから北海道〜九州に渡って来る冬鳥で、群れをなして行動する習性がある。少数は国内の山地でも繁殖している様だ。雄は尾羽や翼は暗褐色だが、暗赤色でなかなか美しい。雌は灰色がかった黄緑色でやや地味な体色。交叉した頑丈なくちばしを持ち、小型の昆虫の他、アカマツ、カラマツ、スギ、モミ等の球果をむしり取る様にして食べる。

離れて見ている限りでは交叉したくちばしは見え難いが、アップで観察するとそのくちばしを開いたままマツボックリの隙間に差し込んで、くちばしをあわせることにより、カーブした先端部が笠の間を押し広げ、種子をついばみ易くしているのが分かる。

今年は福井県でも東尋坊に近い海浜公園等で、百羽程の大きな群れが見られたが、アトリと同じ様にその数は年によって大きく変動する様だ。(ちなみにイスカもアトリ科の野鳥である)明るい公園などで下枝を落として手入れが行き届いている松の木はかなり高い位置でないと枝がなく、松の実も付いていないので、空をバックに、かなり離れた位置から撮ることを余儀なくされるが、苫小牧では余り背が高くない松の木が多く、至近距離で観察や撮影が出来るので大変有り難い。

イスカが松の実を食べることで、喉が渇くとも思えないのだが、何故かイスカの群は30分おき位に近くの水場へ水を飲みに来るので、場所が判ればそこに待機して撮影することも出来る。

藻岩山・登山道のクマゲラ

学名:Dryocopus martius
英名:Black Woodpecker

札幌市の南西にある標高531メートルの藻岩山はスキー場や展望台があって夜景もきれいな所だ。ロープウエイもあり、観光客が集まる行楽地となっている。この山は軽登山を楽しむ人々も多いのだが、某登山口には駐車場やトイレ、靴の泥を落とす洗い場等も完備されている。その登山口から50メートルも離れていない所に、毎年の様にクマゲラが営巣する場所があって、その年も雛が育っているとの情報が寄せられたので訪ねて見た。

6月の中旬だったので、登山道から見える位置にある樹洞では、もう雛がかなり大きく巣立ちが近い様だ。親鳥は雛に巣立ちをうながすかの様に、餌を運んで来ても少しじらしながら食べさせている。都会に近いので、雛の天敵であるカラスも良く出没するが、同じ黒い鳥でも、クマゲラは貫禄があって、騒々しいだけのカラスとは大違いである。

クマゲラは日本最大のキツツキの仲間で、天然記念物に指定されている。雄はくちばしの付け根から後頭部にかけて赤いが、雌は後頭部のみが赤い。通常はダケカンバやブナ、トド松に営巣するが、ここでは普通、藻岩菩提樹が利用される。クマゲラはその鋭いくちばしで樹皮を剥がしたり、樹木に穴を開けてカミキリ虫の幼虫やアリを掘り出し、アリスイの様に長い舌を出して食べるが、時には丸木舟を作るかの様に、縦に長い大きな穴を開ける。

大都会の市街地にごく近い場所なので、まるで公園の中で撮影している感じでだった。当時は札幌市内に住んでいたので、家から30分以内で行けたから身近な大自然である。