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2012年2月22日水曜日

サケ(シロザケ)の遡上と産卵

学名:salmo(Oncorhynchus)keta
英名:Chum salmon / Dog salmon

北海道では、殆ど全ての河川にサケの回帰が見られる。母なる川で生まれたサケの稚魚は、やがて海に下り、遠く外洋へと旅立つ。

4年目の秋、見違える様に大きくなったサケは故郷の川の河口に終結し母川へと遡上する。海で生活している時は、銀白色だった体色は、川へ遡上する頃にはブナ(ブナの木肌の色)と呼ばれる婚姻色に染まっている。

通常、汽水域や河口は透明度が良くないので、撮影すること自体簡単ではないが、天候に恵まれ流程の短い渓流の様な川を選べば、美しいサケの群れを水中で観察することが出来る。さらに又、幸運に恵まれれば、海洋生活型のサケに遭遇出来るかも知れない。

川を遡上し、産卵場所へ到着したサケの雌は、伏流水のある様な砂利底にその大きな尾鰭を使って、産卵床を掘り始める。

雄はごく稀に手伝うことはあるが、雌の卵が腹の中で成熟し、産卵の態勢になるまでは周囲で待機している。近くにいる雄同士は雌の奪い合いで熾烈な闘争を繰り返すこともある。

雌は臀鰭を石の間に刺し込んで掘れ具合を確認しながら堀続けるが、やがて産卵床が完成するとそこへ腰を落とし、口を大きくあけて産卵の態勢になり力をこめると、雄はすかさず横にならび勢い良く放精する。

卵の中へ精子が入り込み受精卵になると雌が又、尾鰭を使って小砂利をかけて埋め、卵を川底に隠してしまう。

カイツブリの子育て

学名:Podiceps ruficollis
英名:Little Grebe

カイツブリは全国の平地の川や湖にいる留鳥で、潜水が得意な小型の水鳥である。ハスの花が咲く頃、近所の池で巣作りが始まったとの情報を聞いて早速出かけて見た。

雄と雌が共同で浮巣を作って4ヶの卵を産んだ。巣の上にあがって雄と雌が抱卵を交代している足元を見ると、体に比例して大き過ぎる水かきが見えた。

生まれつき足ひれをはいている様なものだから、歩くより潜水が得意なのが理解出来る。それからかれこれ半月ほどたってから行って見ると、もう雛が誕生し始めていた。親の羽の下へ潜り込んで首だけ出していて可愛い。

不思議なことに生まれて直ぐに水の上を泳いでいる、親が運んで来た食べ物は何でも食べようとするのには驚く。

水生昆虫やトンボなどとても大きめで口に入りそうもない生物でも貪欲に飲み込んでしまう。又、生まれたばかりなのに、兄弟で餌の取り合いから激しい喧嘩となり、ついに1羽が死んでしまった。生存競争は人間の社会以上に厳しい。

2012年2月20日月曜日

里山のキジ

学名:Phasianus colchicus
英名:Common Pheasant

キジは日本の国鳥。余り大きく移動しないで、1年中、同じ地域に留まる留鳥である。繁殖期になると雄は「母衣打ち(もいうち)」と言って、縄張り宣言の羽ばたきを繰り返す。

雌の前では尾羽をクジャクの様に広げて求愛行動もする。ある日ちょうど撮影中だったが、突然現れた別の雄との間で、激しい縄張り争いが始まった。大型の鳥であるからなかなかの迫力で見ごたえがあった。

私は車の中から撮影していたので、2羽の雄はこちらの様子を気にすることもなく。最初から最後まで激しい闘争シーンを展開した。

しばらくして、戦いに疲れた雄が離れて行き、互角の勝負だったのにまるで勝利を宣言する様に「母衣打ち」をしてお開きとなった。

滝つぼのオオサンショウウオ

学名:Andrias japonicus
英名:Japanese giant salamander

岐阜県以西の本州、四国の山間部には両生類では世界最大と言われるオオサンショウウオ(別名:ハンザキ)が現在もその命脈を保っている。

中国地方の山間部、生野銀山湖に流入する黒川にはオオサンショウウオの保護地区があり、研究スタッフも川の畔の施設に常駐している。

山が紅葉に染まり始まる頃、渓流の滝つぼに潜って見た。水深5〜7mの滝つぼのえぐれに大小数尾のオオサンショウウオを発見してビデオ・ライトを点灯し、撮影を始めたその時、逃げ惑った数尾の大アマゴ(湖沼型のサツキマス)の1匹が餌食になった。

魚には気の毒なことをしたが、おかげでしっかりと尾柄部をくわえられた大アマゴが必死になって逃れようと大暴れする様子を思いがけず撮影出来た。

潜水する前まではこの細い渓流で、1.5m程にも成長する超大型の野生生物が何故これまで生存出来ているのか理解出来なかったがその謎が一気に解けた様な気がした。

※取材協力:日本ハンザキ研究所