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2014年11月7日金曜日

そば畑のノビタキ

学名:Saxicola torquata
英名:Stonechat

毎年、秋になると蕎麦畑には一面、白い花が咲き乱れる。花には蝶を始め、様々な昆虫が集まってくるが、これを目当てにノビタキもやって来る。ビデオは蕎麦の実が目立つ様になる頃撮影した。

ノビタキは以前北海道の石狩平野等で、営巣と子育ての様子をリモコンも駆使して撮っているが、その頃の姿とは別の小鳥に見える程異なる。このビデオの姿が冬羽とされているが、9月中旬の頃なので、初秋であり、秋羽と呼びたいところだ。特に雄の夏羽(春〜初夏)は頭部全体が黒くなるので、その違いが顕著である。

ノビタキは蕎麦の花の近くの枝にツマヨウジ並みの細い足でとまり、飛んで来る虫たちを狙うのだが、発見するとフライングキャッチして又元の位置に戻る。

セイタカアワダチソウやススキのある休耕田、草原、河原等でも見られるが、その可憐な姿故に蕎麦畑の白い花がとても似合う。黄色いセイダカアワダチソウの花の先端にとまっているのも狙って見たが、不安定な様で、カメラを向けた時はもう飛び去っていることが多い。横向きに倒れた茎にとまったのがやっとピントをあわせるのが間に合って撮れた。それはそれで、絵になるのだが、花がらみとは言え、外来種はなるべく避ける様にしているので、発表する機会は少ないと思う。

オニオコゼとハオコゼ・毒棘にご用心

学名:Inimicus japonicus
英名:Devil stinger

魚とは思えないグロテスクな顔をしていて、周囲の環境に溶け込んでいるオニオコゼはじっくり見ないと判らない程のカムフラージュの天才である。

色彩には変異がある。泳ぎ方は独特で、胸鰭を波打たせる様にして移動する。真夏にはグローブやブーツを使わずに潜るダイバーもいるが、露出している肌を刺されることもあるので、うっかり海底には降りない方が賢明だ。特に海藻の生い茂った岩場は要注意である。着底したい時は、見晴らしの良い砂場に限る。背びれや胸びれの棘の毒はかなり強力で命にかかわる危険もある。

以前著書の魚図艦「海の魚」の取材中に、オニオコゼ同士の激しい争いを目撃したことがある。毒棘と言う武器を持った同士が戦うと、どうなるのかとしばらく見入っていた。面白い写真は撮れたが、相討ちかと思いきや、刺し殺しあうまでにはならなかった。

これと似たハオコゼ(ビデオの最後尾)は小型種ながら、同じように毒棘を持つので、手を出さないことだ。こちらはダイバーより釣人が被害にあうケースが多い。海藻の茂みにいると保護色なので、気が付かないので、まだ見たことがなければ、一度はじっくり探して、その姿を憶えておくと良いだろう。長年、ダイビングのインストラクターをやっていたので、「危険な生物」は意識して撮影し、多くのダイバーに紹介することにしている。

サルの惑星・山里編

学名:Macaca fuscata
英名:Japanese monkey

バードウオッチングに出かけると時々野生のサルに遭遇することがある。高度に文明が発達した現代でも、彼らは裸一貫で自然の中で暮らしている。

赤い顔とお尻には毛も生えていないので、人間ならパンツをはかないで、外出しているのと同じだ(これはヘイトスピーチかな?)ニホンザルにはホンドザルとヤクシマザルがいるが、こちらはホンドサル。東北や中部日本の猿は大型で尾は短い。

とにかく冬の寒さや食料の不安定な状況にも耐えて命脈を保ち続ける姿を見ると、人類にはない強い生命力を持っている様な気がする。長野県の地獄谷にある野猿公苑では雪の降る日に温泉に浸かる猿たちもいる。もし遠い将来に人類が滅亡したとしても、猿たちはこの地球上に生き残り、「猿の惑星」の世界が来る様に思えてならない。

観察していると、群れには数頭の強そうな雄猿がいる。若い雄猿たちは、常にやや遠慮して、遠巻きに離れて行動している。子供を抱いた母猿がいると、別の雌猿が一緒に子供をあやそうとしたり、毛ずくろいしながらお互いにノミとりをしたり、ファミリーで仲良く暮らしているので興味深い。柿の木に登っている時には、なるべく目立たない様に枝の密集したところに身を隠して食べていたり、渋柿は熟すまで残しておいて、甘い柿から選んで食べるなど、生活の知恵も垣間見える。

潮風の害は塩害(エンガイ)と言われるが地方によっては、猿による猿害もあり、下北半島等では相当数が毎年駆除されているそうだが、なんとか人類と共存させてあげられないものだろうか?