ページ

2014年10月2日木曜日

アユカケ・カマキリ・アラレガコ

学名:Cottus kazika
英名:Fourspine sculpin

アユカケは別名カマキリ、九頭竜川ではアラレガコと呼ばれる。霰の降る川を夜間に腹を上にして流れ降り、海へ出て産卵すると言う伝説があるが、私はまだその時の姿を見たことがない。近年何ヶ所も堰があるので、アユカケも激減してしまっており、昔の様な状況ではなくなっているらしい。又、中流部では大型の個体がいなくなってカジカよりひとまわり大きい程度のサイズばかりだ。

アユを捕らえて食べるその習性上、まずはある程度の大きさにならないとアユを飽食出来ないので、特大のサイズにはなれないのかも知れない。アクビをした状態を見ると、口はとても大きいので、自分の体長に近いサイズのアユでも飲み込めそうだ。「石化けの名人」と言われる様に、じっとしていると保護色であるし、底の石と区別がつかない。

普通は動きも緩慢で、それ程素早いとは思えないが、どの様にしてアユを捕らえるのだろうか?前から疑問に思っていたのだがある時、若魚のある動作が私を納得させてくれた。アユにアタックする時の準備運動なのか、素早く身をひるがえして、棘のある鰓蓋のあたりを石にこする様な動作を何度も繰り返していた。石の様に動かないで、獲物のアユをおびき寄せ、近づいた時にダッシュして襲う稽古をしている様に見えた。何時の日かその瞬間をビデオに収めたいと思っている。

ゴンズイをマアジが追尾

学名:Plotosus lineatus
英名:Striped catfish eel

ある時、越前の磯で潜っていると、海藻の茂った岩礁の上に、多数のマアジが群れているのが目に入った。マアジはそわそわと落ち着かない感じで、普通なら中層に群れる筈の回遊魚なのに、底近くにいたから、何事かと良く観察して見ると、海藻の茂みの中に、ゴンズイの群れがいるのに気が付いた。

ゴンズイは岩肌の上を編隊を組んで掃除でもしているかの様に移動している。なお良く観察すると、ゴンズイに追われて飛び出して来た小エビをマアジが争って捕食している。それでやっと、事態がのみこめたので撮影しながら観察を続けた。

僕は伊豆や房総半島での潜水時間が非常に長いけれど、これまでは、そんな状況を見たことがなかったのだ。日本海側では、マアジの若魚の群れが底近くで多く見られるのと、アラメの林は太平洋側の磯に多いカジメより丈が短いので、岩の上にエビ等が多いからかも知れない。そう言えば、メジナやアイゴの若魚の群れも、アラメやホンダワラの近くで多数見られる。

ゴンズイが群れを作るのは有名で「ゴンズイ玉」と言うが、実際にはなかなかまん丸くはならない。もう大分以前の話だが、丸い群れを撮ろうと長時間かけてねばった結果、やっと砂漠見たいな砂上を、ほぼ球形になって移動する群が撮れたので、喜んだことがあったのを思い出した。

坂井平野のマガン

学名:Anser albifrons
英名:White-fronted Goose

毎年秋になると福井市の北部、北潟湖との中間に位置する坂井平野にマガンの大群が現れる。以前、北海道の宮島沼へも取材に訪れているが、広い沼を埋め尽くす様に5〜6万羽ものマガンが羽を休めているのは圧巻だった。

沼の群も日中は近所の畑に分散して落穂をついばんだりするのだが、坂井平野の場合は湿地や水張り田んぼは少ないので、昼間だけ畑に集まっている。夜間は主に石川県南部の片野鴨池等へ移動して眠る様だ。畑を荒らされるので、箒を振り回して追い払う人もいない訳ではないが、多くの農民はマガンに寛大なので、坂井平野の居心地は悪くないのかも知れない。又、北海道と比べても、畑の形状が広大で平坦なので、もしキツネ等の外敵が現れても遠くから発見出来る為、餌食になることも避けられると言う安心感があるだろうし、餌となるコシヒカリの二番穂の味は格別なのかも知れない。

この大きな群に混じって、稀にハクガン、コクガン、シジュウカラガン、オオヒシクイ等がいることがあり、野鳥好きな連中はもっぱらこれらの珍鳥を探すことを楽しみにしているとのこと。実はまろもその一人なのだが・・・