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2015年4月6日月曜日

チョウゲンボウの営巣

学名:Falco tinnunculus
英名:Eurasian Kestrel

数年前の事になるが、雪解け水で増水し、とうとうと流れる九頭竜川にかかる橋のたもとでの事。何時もの干潟がなくなっていて、護岸のテトラの上で悲しそうな感じのチュウシャクシギを見つけて撮影している時、チョウゲンボウがその橋の下部へ出入りしているのに気が付いた。良く見ると、橋の下に設置された数本のパイプの上に営巣しているのを発見。橋の上は大きなトラックや乗用車等で結構交通量が多いが、その直ぐ下側(裏側)である。最初に見つけた時は、まだ雌が巣に入って抱卵しており、雄が近くにいて、時々飛び去り、餌を探して戻って来ると言う状態だった。

その後しばらくして、再度観察と撮影に訪れた時には、もう雛が4羽もいてかなり大きく育っていた。親鳥はときどき野鼠らしいものを運んで来て、それを食いちぎり、雛に与えていた。巣立ちも近い様で、しきりに羽ばたく動作を繰り返す雛もいる。狭い巣の中であまり暴れては万一川に落ちたら大変と心配になる。チョウゲンボウは全国的に生息数が減っており、小鳥等を襲うこともある様だが、河川敷や田畑から鼠等を駆除してくれる貴重な猛禽類でもあるので、全部の雛が無事育って欲しいと願いつつその場に別れを告げた。

トラツグミとウメモドキ

学名:Zoothera dauma
英名:White’s Thrush

全身が黄褐色をした大型のツグミ。暖地では一年中見られる留鳥だが、寒冷地の個体は、通常暖地へ移動する。冬季にはナナカマドの実等に集まるが、今回は雪に覆われた畑の中央にあるウメモドキの赤い実を食べにやって来ていた。一緒にいたジョウビタキやアオジ等と違う点はツグミの仲間なので、雪の重みで折れ曲がった枝とか地面に落ちた木の実も地面や雪上に降りてついばむ。

普通はかなり用心深い鳥だが、餌を食べている時は、ある程度接近してもその場から離れない。運動公園の近くなので、時々子供達が大声をあげて傍を通ったりするが、直ぐ近くにある孟宗竹の林へちょっとだけ隠れたりしながら、赤い実がほぼ無くなるまで約1ケ月間、滞在してくれたので、雪の晴れ間を見ながら何度か撮影することが出来た。その後しばらくして、近くにある野池に流れ込む小川の畔で、霙が舞う中、嘴で落ち葉を払いのけながら餌を探しているトラツグミの姿が見られた。

本来はミミズや昆虫が主な食べ物だが、雪の多い季節には何でも食べると言うことか。それにしては結構美味しそうに赤い実をついばんでいたけどなあと思った。

アメマス・降海型

学名:Salvelinus leucomaenis
英名:Whitespotted char

アメマスは一生を川で過ごす河川残留型(陸封型)のエゾイワナと海へ降って大型に育ち、又、生まれた川に遡上して来る降海型との2型がある。北海道日本海側の島牧方面等に多いが、豪雪地帯なので、雪代の期間が長く、早春、河川での水中撮影は難しい。

ビデオは太平洋側の河川で、雪解け水がおさまったばかりの冷たい川を降り、降海する直前の姿である。背びれや尾びれの先が黒くなり、体全体が銀白色に輝く鱗に変わっている。

アメマスの産卵は晩秋の雪がちらつく季節に本流の上流域や支流で行われる。幼魚は約2~3年程川にとどまる。春先上流から集まって来た若魚は河口近くで群れをなし、やがて海へと向かう。

サクラマス等の場合、海へ降るのは一生に一度きりだが、アメマスは海と川とを何度か往復するらしく、かなりの大型に育つものもいる。体形は丸太状で細長くなるが、サケ並に大きくなる個体も珍しくない。

海では、海岸からルアーやフライの投げ釣りで狙う海アメ(海のアメマスの意)が人気だ。70cmオーバーは「ナナマル」と呼ばれ釣人が憧れるサイズ。しかし、お味の方は身が柔らかいので、単なる塩焼きには不向きで、フライやムニエルにすると美味しい。放流されたサケの稚魚を飽食するので、各漁協では害魚扱いされ、駆除の対象にもなっているが、貴重な在来種でもあるので、一網打尽にはして欲しくないものだ。