ページ

2015年11月25日水曜日

ブッポウソウ・子育て中

学名:Eurystomus orientalis
英名:Broad-billed Roller

夏鳥としてオーストラリアなどから飛来するブッポウソウは、暗色の体に赤色の嘴が目立つ珍しい野鳥である。里山の電線にとまり、時々飛んで来る昆虫などをフライングキャッチする所を見かけたと言う情報を地元でも聞いたこともある。

初夏の頃、関東の鳥友達から、営巣している場所があって、もう直ぐ雛がふ化する予定と言う情報を聞いたので出かけて見た。営巣していたのは、村の一角にある鎮守の森の大木の樹洞で、結構高い所だったが、裏手が斜面になった地形なので、三脚を立てる位置からは、やや遠めではあったが、見上げる様な高さではない。僕が撮影に行った日には、もう雛がかえっていたらしく、時々親鳥が雌雄交代で餌を運んで来ていた。ブッポウソウは羽を広げると、翼に大きな白班があるので、良く目立つ。明るい所で見ると、頭と尾羽は青緑色で、嘴と足だけが赤く美しい。30分おき位に巣へ戻る親鳥を待って撮影していたが、樹洞へ飛びつく数秒前にシャッターを押さないと翼を広げている瞬間は撮れないので、慣れるまで何度か失敗をした。

当日は朝から小雨が降るお天気で、晴れてくれないかと祈りながらの撮影だったが、 幸いにも雨はやんで花曇となり、撮影には絶好の明るさになったので、羽の色はきれいに写すことが出来たと思う。ブッポウソウはその鳴き声から「仏・法・僧」と命名されたそうだが、その鳴き声は後にコノハズクの鳴き声で、間違いだったことが判明したと言うエピソードがある。

アオブダイ・大型の雄

学名:Scarus ovifrons
英名:Blue humphead parrotfish

長年魚類の撮影をしているが、魚たちの中には警戒心の強い種類もいて、なかなか接近して撮らせて貰えない種類も多い。温帯域に生息する大型のアオブダイもその一種で、岩の間で透明な寝袋につつまれて眠っている姿の写真しか撮れてなかったので、常にチャンスを狙っていた。南伊豆の神子元島で一度だけ近くに寄れたことがあったが、その時は潮も速く、もう残りのエアーがなくなっていて撮れなかったと言う苦い思い出がある。

最近、高知県の柏島まで遠征した折、ダイバーを見ても余り逃げない個体がいるのに気が付いて、嬉しくなった。ブダイの仲間は逃げる時、糞を煙幕の様に噴射しながら泳ぐので、その習性もビデオに撮ろうと、ジワリジワリと距離をつめて行きながら追尾した。雄も雌も一緒に現れたのだが、寄り添って行動していなかったので、前頭部が突き出た大きな雄に狙いを定めて迫って見た。強力な顎の力と鳥のくちばしの様な丈夫な歯でサンゴをかじり、付着藻類を食べながら移動している。バディも先回りしてこちらへ追い込む様に神対応してくれたので、最後には大接近し、何と僕の直ぐ横をすりぬける様にして去って行った。この雄の推定体長は最大級の80cm程。

アオブダイはスナギンチャクを食べてパリトキシンと言う毒素を蓄積するそうなので、通常は食用にされない。特に肝臓など内臓はフグより危険で死亡例もあるそうなので注意したい。

カンパチ・若魚の群



学名:Seriola dumerili
英名:A mberjack

四国の柏島でのこと。やや深場の海底に潜って小魚を撮ったりした後の浮上中、いざ減圧停止をしようかとダイブコンピューターに目をやっていた時、どこからともなく回遊魚の群れが現れて取り囲まれた。一瞬イナダ(ブリの若魚)かと思ったが、何とカンパチの若魚の群で、ブリよりやや体高があり体色が赤みを帯びる。

カンパチは豆南諸島や小笠原諸島で以前にも何度か遭遇しているが、成魚は最大1.8mにもなり、ブリより大型に育つ。やや深い海中に生息し、単独か数尾で現れることが多い。カンパチはヒレナガカンパチにも似るが、第二背びれは鎌状に伸びず、尾びれ下葉や腹びれや臀びれの先端が白いので区別出来る。カンパチは通称「ホンカンパ」とも言われるが、漁師はこの両者を区別しない。

我々ダイバーの泡を小魚の群れと勘違いしたのか、まつわりつく様に集まって来て周囲を2~3度旋回してから、「何だダイバーの泡か」とばかり、シルエットとなって又何処へともなく去っていった。ブリの場合は「寒ブリ」と言われる様に冬が旬の魚だが、カンパチは夏が旬とされる。しかし冬期でもあまり味は落ちないので、一年中高級魚だ。カンパチを正面上部から見ると数字の八の字の様な斜帯が見えるので「間八」の名があるが、この帯は成長につれて消失する。この斜帯のせいか高知県ではハチマキとも呼ばれている。