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2016年5月25日水曜日

レンテンヤッコ - 超特大のグラデーションに出会う

学名:Centropyge interrupta
英名:Fishers angelfish

南日本からハワイ諸島、ミッドウェイに分布する。伊豆七島に多い魚で、伊豆半島でも時々見られる。これまでは小型のヤッコと言うイメージがあったが、アブラヤッコ属では大型。

柏島で出会った個体は想像を絶する大きさで驚いた。ビデオの後半に登場するのがそれだが、周囲のキンギョハナダイと比べて見ると、ほぼキンチャクダイ成魚の大きさに匹敵するのが判る。おまけに厚みのあるボディだから結構迫力がある。沖縄にはいない様だ。体色は紫、オレンジ、黄色のグラデーションで、アクアリストに人気が高く、幼魚は10万円前後で売買されている。全長 19cmに達する。キンチャクダイ科。

キヘリキンチャクダイ - シックな柄の人気海水魚

学名:Chaetodontoplus melanosoma
英名:Black-velvet angelfish

西部太平洋に広く生息するが、国内の個体数は多くない。伊豆半島ではアカネキンチャクダイはいるが、本種は見たことがない。柏島でも見たのはこれ1匹のみ。ダイバーを見慣れているのか、余り逃げないが、透明度がイマイチだったので、今度又撮り直したいと思っている。

体色は色々なバリエーションがある様だ。キンチャクダイとアカネキンチャクダイの合いの子だと言う説もある。独特な体色のせいかアクアリストには人気があり、幼魚から飼育すれば、水槽で長期に飼うことも出来る様だ。幼魚は全体に暗色だが、各ひれは黄色で、鰓蓋には黄色い横帯がある。成魚の全長は18cm。雑食性。キンチャクダイ科。

取材協力:SEA ZOO

カワハギ - 餌取り名人の観察記録

学名:Stephanolepis cirrhifer
英名:Threadsail filefish

釣人に言わせると、カワハギは餌取りの名人で、釣るのが難しい魚とか。海中で、餌を食べている所をじっくりと観察して見ると、やや尖った口で、味見をする様に慎重に食べているのが分かる。一気にガブッと食いつかないのは、育ちが良い訳ではなく、オチョボ口だからであろう。又、口からジェット水流を吹き出して砂や汚れを吹き飛ばしてから食べるので、隠れた釣針もしっかり見えてしまうのかも知れない。

非常に美味な魚で、煮ても焼いても美味しいが、特に肝は絶品とされ、刺身に添えて食べる。旬は秋で、肝が大きい時期だ。ウシヅラ、バクチ、マルハゲ、カワムキ他多数の地方名がある。カワハギ科。全長25cm。

2016年5月10日火曜日

オトメベラ(乙女倍良)- 年に一度の産卵行動

学名:Thalassoma lunare
英名:Moon wrasse

ベラの仲間では体色はやや地味だが、顔には歌舞伎役者の隈取(クマドリ)を思わせる放射状の模様がある。 尾びれには三日月模様の黄色部分があるので他種と識別しやすい。胸びれは青く、中央部分が赤い。雌性先熟の性転換をする魚で、全長は普通20cm程度だが、大きいものは40cmに達する。

4月下旬の高知県柏島の海では、浅場の大きな岩礁の頂上付近で、沢山のオトメベラが集まり、年に一度の産卵の儀式が行われていた。ベラ科。

取材協力 柏島ダイビングサービス SEA ZOO

タテジマヘビギンポ(縦縞蛇銀宝)- 熱心な求愛行動

学名:Helcogramma striata
英名:Neon triple fin

海中の季節は陸上の世界より遅れて巡ってくる。4月下旬、海の中にも遅い春が来ていた。赤色の体側に3本の明瞭な白色渋滞の目立つ本種の雄が、各ヒレを目一杯広げ、熱心でせわしない求愛行動を繰り広げていた。

もしかして、2匹が寄り添った瞬間に、抱卵と放精が行われているのかも知れないが、卵の粒や、白い精子は肉眼では見られない。普段は臆病な彼らだが、求愛行動中は眩しいビデオの照明も気にすることなく、大胆に動き回る。伊豆諸島、小笠原諸島、西部太平洋のサンゴ礁域に分布する。体長約4cm。ヘビギンポ科。

カゴカキダイ(駕籠舁鯛)- 海底を彩る横縞の群

学名: Microcanthus strigatus
英名:Stripey

温帯域ではチョウチョウウオに変わる魚が少ないが、五角形の黄色い体に5本の縦縞で海中でも良く目立つカゴカキダイはそれに匹敵する貴重な温帯種だ。今回遭遇した群れは比較的大きめだったので、ウミトサカの周囲で群れていると絵になる。

水槽でも飼いやすく、観賞魚にもなる。 余り一般的ではないが、定置網等で混獲されたり、磯釣りの外道として釣獲される美味な魚で、塩焼き、煮付け、刺身等で賞味される。ヨコシマ、ゲタノハ、オトノサマ、チョウゲン、キョウゲンバカマ他多数の地方名がある。体長15〜20cm。カゴカキダイ科。

2016年5月2日月曜日

アビ(阿比)潜水の得意なハンター

学名:Gavia stellata
英名:Red-throated Diver

(アビ目アビ科)別名「霜降鴨」と呼ばれる冬羽のアビが東尋坊の北部の海水浴場の沖で、しきりに潜っていた。英名でダイバーの名が付いているだけあって、潜水が得意な種類で、器用に小魚やイカ等をくわえて浮上し、直ぐ飲み込んでは又潜ることを繰り返す。 良く見るとこの動画でも浮上した時、イカナゴみたいな小魚をくわえているのが判る。

アビは雌雄同色。嘴は細く、やや上向きにそる。海上で生活するが、海が荒れたりすると、河口や内湾にも侵入する。大きさは全長63cmとアビ類では小型。 水面に戻ってから、次に潜り込むまでのスピードが 3〜5秒位と早いので、ピントを合わせる前に又潜られてしまうことが多い。瀬戸内海では伝統のアビ漁が行われていたが、それは本種ではなく、近似種のシロエリオオハムが使われていた様だ。