ページ

2013年6月25日火曜日

沼のギャング・カムルチー




学名:Channa argus
英名:Noorthem snakehead

別名:雷魚。私の子供の頃は、近所の沼に沢山のカムルチーが生息しており、生きている蛙を餌にしてポカン釣りを楽しんだものである。水面を泳ぐカエルに水中から接近し「ガブリ」と飲み込むので、迫力満点の釣りである。

釣り上げた魚は自宅で太い土管型の池に飼っていた時もある。何匹も飼っていると十分な餌が与えられない時、小さめの個体が大きい個体の餌となる。つまり共食いがおこる。仲間も餌にする凶暴な奴である。

カムルチーが水中のギャングよろしく在来の貴重な淡水魚を食べてしまうので、生態系が破壊されると大騒ぎになることもあった。しかし、カムルチーのいる池沼にブルーギルが放流されると事態は一変し、カムルチーの稚魚がブルーギルの絶好の餌となって、カムルチーは増えることが出来なくなっている。ブラックバスも同じ状況ではあるが、カムルチーに比べて稚魚の保護が徹底しており、子育てする本能が強いので大きく生息数を減らす事態にはなっていない。

近年、新潟県の瓢湖へヨシゴイと言う野鳥を撮影に行った。ヨシゴイは蓮の茎に擬態する習性があり、茎に掴まって身を隠し、小魚を狙うのだが、大型のカムルチーが水中からこれを襲うこともあり、中には片足を失ったヨシゴイもいるとか。爬虫類や両生類ばかりか野鳥まで襲う訳で、雷魚に比べれば普通の魚食魚はまだ可愛いと言う感じである。

産卵床を守るブラックバス

学名:Micropterus salmoides salmoides
英名:Largemouth bass

別名:オオクチバス。琵琶湖では毎年5月の連休の頃からブラックバスの産卵が始まる、しかしこの時期、天候に恵まれれば釣り人の数も増えるので、産卵床を守っている親魚でも時々釣り上げられてしまうことになる。とは言えキャッチ・アンド・リリースなので、又、水中に戻され、卵を守り続けることが出来る。

産卵床を守っている時は、私の様にカメラを持って水中から近づこうとすると、大きなバスの親魚が果敢に威嚇、攻撃してくるので用心しなくてはならない。まず、攻撃してくる個所は動かしている足であるが、私の場合、噛み付かれてもアユ釣り用の足袋を履いているので問題ない、しかし頭を狙って来る場合もあり、ウェット・スーツのフードをかぶっていても痛い程だ。

サンゴ礁の海で潜っている場合も、ゴマモンガラ等が産卵床の卵を守っている場所では注意が肝要であり、それに比べればブラックバスの攻撃は恐れる程強力ではない。問題があるとすれば、水中ハウジングのフロント・ポートかも知れない。高価な部品であるがプラスティック製なので、簡単に傷が付いてしまう。

しかしこれとて水中側に少々の傷がついても、撮影した画像には影響ないので、この日も攻撃にひるまず撮影を続けた。一昔前は産卵床の周囲には沢山のヨシノボリの仲間がいて卵を狙っていたものだが、今は全く姿がなくなり、湖底にたむろしているのはブルーギルの群だけという水域も多く、変わり果てた水の都、琵琶湖の現在の姿には胸が痛む思いである。

可憐なセイタカシギ

学名:Himantopus himantopus
英名:Black-winged Stilt

英名は「黒い翼のある竹馬」の意。細長い竹馬の様な足は淡紅色だが濃い紅色の個体もいて(ビデオ参照)美しい。面白いのはその長い足で頭を掻いたり首を羽づくろいする時で、ビデオの様に脇の下から足を持ち上げる。ケリも同じことをするが、セイタカシギはより足が長いので目立つ動作となる。

次に餌を探す時は映像で判る様に、細長い嘴をやや開いた状態で水面から差込み、移動しながら泥の中をじぐざくに掻き回して餌を飛び出させ捕食する。餌はオタマジャクシやドジョウ、エビ、カニ等だが、双眼鏡で観察しているとヒルやミミズらしいものも食べている。貴婦人と呼ばれる美しい姿に似ず、やや下手物食いなのが「玉に瑕」ではある。尚、雌の体色は淡褐色だが雄は青黒い翼をしている。又、雄の夏羽では頭頂と首の後が黒くはっきりしているが、頭部の濃淡は必ずしも性別とは関係ない様だ。

スチール写真では偶然に両方の翼を思い切り上に広げて伸びをしているカットが撮れたので、今度は飛び立つ所を撮りたいと秒間9コマ撮れるカメラで何度か挑戦した。横向きに飛び立ってしまうと、多くの場合画面からはみ出して失敗してしまうのだが、正面向きのまま飛び上がってくれたことがあって、何とか念願のカットを撮ることが出来た。