ページ

2013年9月14日土曜日

苔を食むアユ

学名:Plecoglossus altivelis altivelis
英名:Ayu(Ayu Fish)

初夏、川のあちこちで銀鱗を光らせながら苔を食むアユの姿は季節の風物詩である。アユは年魚なので、生まれて1年足らずで活発に餌を食べるのは親に教えられたことではなく、本能と言えるのだが、その生命力の強さには感動せずにいられない。

岩の表面に体ごとぶつかる様な勢いで突進し、櫛状の歯で岩苔をそぎとって食べ、ぐんぐん大きくなり、時には1尺(33cm)サイズにまで育つ「尺アユ」も見られる。

岩についたそぎ跡を「アユの食み跡」と呼ぶが、面白いことに、自然度の高い渓流のきれいな底石では余り目立たない。少し濁りがある様な川でうっすらとほこり状の泥をかぶった岩の場合には大変良く目立つ。矢羽状の模様だが、連続していると帯状になる。又、川の流量が少なくなって、底石が水面上に干上がっている時に発見することも多い。

若魚の内はまだ群れで行動しているアユだが、次第になわばりを持つ様になり、気に入った川底を見つけるとそこに定着する様になる。なわばりに侵入しようとする他のアユを見ると果敢に攻撃して追い払うのだが、この性質を巧みに利用したのが、「友釣り」である。外敵のアユに対する攻撃はスピーディでかなり激しい。しかしヨシノボリやドジョウの仲間がなわばりに入っても、敵とはみなさないのか通常攻撃することはない。

海から遡上する天然アユは年々減少している。多くの漁協では琵琶湖などからコアユを購入して放流したり、養殖も行われているが河川環境を守ることが最も重要であることは言うまでもない。

巣立ちの早いバン

学名:Gallinula chloropus
英名:Moorhen(Common Gallinule)

盛夏の休耕田でクイナ科のバンが営巣していた。農道に車を止めて見下ろせる位置なので、車内から撮影出来るが、日陰のない場所なので、カンカン照りの時は暑くてたまらない。かと言ってエンジンを止めずにクーラーを付けていては、バンが警戒して巣から離れてしまう。その日もバンが巣を離れてしまったので、その隙に長靴を履いて湿地へ入り、巣をのぞいて見た。

驚いたことに巣の中には所狭しと10個もの卵が産み付けられていた。そう、バンは同種内で托卵する習性があり、1個の巣に複数の雌が卵を産みつけるのだ。(文献によれば20個の記録もあるとか)なるほど近くの水張り田んぼでは子育てを仲間にまかせたバンの小群がいるのだが、まるで保育園に子供を預けて遊びほうけている母親のグループに似ている。

翌日、親が立ち上がった時に、1羽の雛の姿が見えた。雛の頭の部分はまだ毛が生えておらず、ハゲタカの雛見たいだが、体はほぼ黒い産毛で覆われている。全部の雛がふ化した場合、はたして狭い巣の中で無事育つことが出来るだろうかと心配になった。あと9ケも卵があるから次々とふ化したらにぎやかなことだろうし、面白いビデオになるかも知れない、毎日観察しながら少しずつ撮ろうとのんびり構えていたその翌日の夕方、あっと驚く事態が起こった。私がカメラを構えて撮り始めてから、親が巣を離れたのだが、昨日生まれたばかりの雛がヨチヨチ歩いて親の後を追い、巣から飛び出してしまったのだ。なんと驚異的な巣立ちの速さであろうか。一昨日は全部の卵を確認しているので、間違いなく丸2日で巣立ちをしたのである。その後もふ化した順に巣立つ感じで、残念ながら10羽の雛が巣の中にいる情景は夢となってしまった。

ミサゴは魚のハンター

学名:Pandian haliaetus
英名:Osprey

最近良く話題にのぼる垂直離着陸の出来る軍用機オスプレイとはタカ科の猛禽類、ミサゴのことだと言うのは皆さんご存知ですか?ミサゴは魚類を主食にしている猛禽類で全国で繁殖している留鳥。川や湖の水面上空でホバリングし、狙いを定めて水中に飛び込み、魚をかぎ形の鋭い爪でわしずかみにしてとらえる。つまり、ヘリコプターの様に空中に静止することが出来ます。只、ホバリングするだけならカワセミだって上手ですが、カワセミでは軍用機の名前としては迫力がないのでミサゴになったのでしょうか?

しかし航空機のオスプレイは野鳥のミサゴに比べてまだまだ大きく劣っていると思われることがあります。それはオートローテイション機能がないので、片方のエンジンが故障した場合(水平飛行中なら直ぐには墜落しませんが)ホバリング状態だと墜落してしまいます。

又、水上飛行艇並みの耐圧防水構造になっていないので、水面へ気軽に不時着したり、再度飛び立つと言う芸当は多分出来ないでしょう。ミサゴは10m位の上空から水面の魚めがけて急降下する訳ですが、一時的には全身が水中に没することもいといません。そして、ずぶ濡れになりながらも又、飛び立てます。

それはさておき、ミサゴのハンティングは百発百中ではなく、むしろ失敗する確立が高いのです。このビデオでも大き過ぎるコイを狙って失敗しています。しかし、何度も繰り返しアタックするので、いつかは成功することもあって、ご馳走にありつける訳です。

春先、海岸の岩棚や川岸の大木の樹上に営巣するが、子育ての時期にハンティングは最も活発で、毎日なわばりにしている河川の上空を行ったり来たり、獲物を求めてパトロールする姿が見られる。