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2012年8月30日木曜日

釣魚クロダイ・関西ではチヌ

英名:Black porgy
学名:Acanthopagrus schlegeli

クロダイはタイ科の魚だが、マダイに比べると黒灰色で地味な体色である。とは言え釣魚としては釣り方もいろいろあって奥が深く人気がある。分布域は北海道南部からトカラ列島と広い。幼魚や若魚は河口域や淡水域にも侵入するので、淡水魚の図鑑にも登場する。

ビデオは7月中旬に佐渡で撮影したもので、大型のクロダイがドロップオフ近くの浅い藻場に群れていた。警戒心の強い魚であるが、静かに潜って息をこらえているとダイバーに興味を持って接近してくることがある。(普通、ダイバーは息をこらえるのは薦められないのだが・・・)

クロダイは例外的に雄から雌に性転換する魚で、雌から雄に変わるマダイ等他の性転換魚とは正反対でもある。又、成長につれて呼び名が変わる出世魚で、関東ではチンチン→カイズ→クロダイ、関西ではババタレ→チヌ→オオスケとなる。チヌと言う呼び名は関西で一般的だが、大阪湾を昔は「茅渟の海」と呼んだことに由来する様だ。

以前、晩秋に南房総の波左間海中公園へ取材に行った折、漁協の方がスピアーフィッシングで仕留めた大きなクロダイをお土産に頂いたことがある。発泡スチロールに氷を入れて、そのまま東京まで持ち帰り、刺身や潮汁で食べたが実に美味であった。

福井県でも若狭湾や越前海岸のクロダイが市場に並ぶが主産地は瀬戸内海の広島県周辺海域の様だ。クロダイは全て天然物かと思っていたが、最近は養殖もされているとか。西伊豆の大瀬崎では毎年12月頃になると大型のクロダイが岬の先端附近の浅瀬に集結して来る。

クロダイの場合、大型は殆どが雌なので、早春には繁殖行動に入るものと思われる。その時はダイビングが終わってエアーがなくなってから浅場で群を発見したので、ボンベを背負ったままスノーケルで追いかけることになって大変だった思い出がある。

取材協力:小木ダイビングセンター

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