ページ

2012年3月14日水曜日

ウグイの産卵

学名:Leuciscus (Tribolodon)hakonensis
英名:Japanese dace

 ほぼ全国的に生息する種類だが、淡水型(陸封型)と降海型があり、北方程降海型が多い。降海型は栄養豊富な海で生活するので、淡水型に比べて体も大きい。

ある道南の河川。春の雪解けが終わって川の岸にエゾヤマザクラが咲く頃中流の産卵場所に集結した婚姻色の群が賑やかに水音を立てながら産卵行動を繰り広げる。海にいるときは銀白色だった体色は、派手な婚姻色に変わっている。

産卵は1匹の雌を複数の雄が追尾するかたちで行われる。産卵する雌雄だけでなく産み落とされた卵を食べようと集まっている集団がいるので、見慣れないと群れが右往左往しているだけで産卵の状態は良く判らないが、ゆっくり水中から観察していると、産卵の瞬間も確認出来る。浅瀬で産卵しているグループは背びれや背中が水面から出ているので、外敵に襲われ易い。アオサギやキタキツネが入れかわり立ちかわり現れては1匹又1匹とくわえて去って行く。

あまり浅い場所は水中カメラのポートが水中に没しない為、水中が撮れないので私は逆にやや深い場所で産卵中の群を探してカメラを構える。腹ばいの姿勢でじっと撮影していると今度は林道から人の声がする。「あの人動かないけど死んでるんでないかい」と言っているらしい。私は膝を曲げて片足だけ水面に持ち上げて生きている証とした。前に聞こえない振りをしていたら石ころを投げつけられた苦い経験があるのだ。生活の知恵と言える。



0 件のコメント:

コメントを投稿