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2012年3月12日月曜日

ブラックバス(オオクチバス)の産卵

学名:Micropterus salmoides salmoides
英名:Black bass / Largemouth bass

私が始めて水中のブラックバス(以下BB)を見て、撮影したのは、もう40年以上も前のことである。TBSテレビの撮影で、箱根の芦ノ湖に潜ったとき、沈木の所にいた見たこともない淡水魚が他でもないBBだったのである。BBは現在ではほぼ全国的に分布するが、もとはと言えば外来魚。釣人のゲリラ放流によって生息域が広がり日本固有の魚種が駆逐されつつある。

琵琶湖は淡水魚の宝庫と言われる日本最大の湖だが、岸近くの浅い場所に生息するタナゴの仲間などは絶滅に近い状態である。最近の琵琶湖の浅場にはBBとブルーギルばかりが目につき、在来の魚はヨシノボリだけかと思われる程の悲惨な状態である。

ワンドになったところを潜っていると、あちこちで産卵床の卵や仔魚を守っている大きな雄の攻撃にさらされる。私は頭にネオプレーンのフードをかぶっているから大丈夫だが、水中メガネだけだと額や耳を噛み付かれるだろう。

BBは雄同士で激しい縄張り争いもするし、釣人はキャッチ・アンド・リリースで、釣れても持って帰らずに又放流するので傷物が多い。又、透明度が良くない日は撮影にならない。この日は晴天ベタ凪が3日間続いた後で、かなりの透明度があった。そして幸運なことに無傷に近いペアが目の前で産卵を始めてくれた。

サケの様に器用ではないが、雄は尾びれを使って、底の泥を吹き飛ばし産卵床を掘りながら、雌に産卵をうながす。産卵は体を震わせながら繰り返し行われる。そしてこのシーンに感動する自分と失望する自分が見つめる。残念ながらBBはこのような強い生命力と繁殖力でこれからも末永く琵琶湖に君臨するであろう。琵琶湖の水を全部干しあげてBBを駆除するなんて出来ない相談なのだから。

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