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2012年3月14日水曜日

アカショウビンの営巣

学名:Halcyon coromanda
英名:Ruddy Kingfisher

私が始めてアカショウビンを見たのはもう20年以上前になる。北海道恵庭の森を流れる渓流で淡水魚の撮影をしていたとき、「キョロロロロ・・・」と気持ちの良い鳴き声が聞こえ、見上げると小枝に赤い体で太くて長いくちばしの小鳥がいた。

私は野鳥が大好きなので、直ぐにでも撮影したかったが、いかんせん広角レンズを使用する機会が多い水中と超望遠レンズを主に使用する野鳥の撮影は両立不可能でそのときは断念するしかなかった。

その後支笏湖から流れる千歳川へ水中撮影目的の取材に行ったときにも出会う機会があった。5〜6年前に福井県に転居してから、住まいの近くに自然が多く、様々な野鳥が生息しているので、再び周辺の渓流や森を探し回った。

カワセミやヤマセミは比較的容易に発見出来たし、姿も見られたが、それでもアカショウビンには遭遇出来なかった。それもその筈で、アカショウビンは5月頃、南方から渡って来る数の少ない渡り鳥で1年中同じ場所に住んではいなかったし、薄暗い山奥の渓流などにいて、滅多に開けた場所には姿を見せない鳥だったのだ。

そんなときもう40年以上も野鳥の観察を続けているY氏とめぐり合った。彼は数枚の紙焼きした写真を見せてくれた。大きなスズメバチの巣に営巣しているアカショウビンの写真だった。「ええっ・・樹洞に営巣するんじゃなかった」私は驚きを隠せずにいた。そう言えば沖縄ではシロアリの巣に営巣するのをテレビで見たことがある。

翌年の梅雨明けの頃、彼は今年発見した営巣の場所へ案内してくれた。山間部の農家の屋根の裏側に大きなスズメバチの巣があって、握りこぶし大の穴があいている。驚いたことに、スズメバチも一緒にいてブンブン飛び回っているのだ。

親鳥は雌雄が交替で餌を運んでくる。アマガエルが多いが、トカゲや小型のヘビもくわえて来る。驚かさない様にブラインドの後ろに身を隠し、夢中で撮影した。感激の出会いだった。その後この巣から2羽の雛が巣立ったとの報告をY氏から聞いた。




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